クホ族の社会とは


少数民族クホ族は中部高原地帯テイグエン地方に居住する歴史が長い民族の一つです。クホ族は自給自足の生活を送っているので、コミュニティの団結を大切にしています。

クホ族の社会は「ボン」と呼ばれる村の単位からできています。各村の境界線は、川や丘など自然のものによって確定されます。それぞれの村は「クワン・ボン」と呼ばれる村長がいて自治組織によって運営されます。クワン・ボンの仕事は農地の分配、村人による紛争の和解、村の境界線の保護など村の平穏な生活を守ることです。村人は、いつもクワン・ボンを尊重しており、何かあれば、クワン・ボンに意見を求めます。村人は全員、村の団結の維持、森林や水資源などである村の財産の保護、伝統習慣の尊重に関する意識と責任を持っています。

クホ族の社会とは - ảnh 1
クホ族の祭り

クホ族の社会はかつてより母系制であり、女性は、家族の世帯主としての役割を果たします。また、結婚において女性は主体的な役割も果たします。その役割は、「花婿を捕まえる」という習慣によく表れています。女性の家族は男性の家族の要求に応えなければなりません。男性が健康で丈夫あればであるほど、男性の家族の要求が大きくなり、女性の家族にとって大きな負担になります。

現在、「花婿を捕まえる」習慣はクホ族の居住地の多くで残っていますが、女性の家族の負担を軽減させる傾向があります。クホ族の一人クナムさんは次のように話しています。

(テープ) 

「かつて女性はとても大変でした。持参金がない限り、結婚できなかったんです。でも、今はそうじゃありません。男性と女性はお互いに愛し合うだけでいいのです。持参金だけで大事ではなくなったんです。」

結婚後、花婿は女性の家族に住むようになり、子どもは母親の苗字を持ちます。そして、家族の財産を相続するのは娘だけです。

クホ族の習慣では、婚前交渉は厳格に禁止されるわけではありませんが、結婚後の浮気は絶対に禁止されます。また、離婚はほとんどない状態ですが、村長にあたるクワン・ボンの同意を受けなければなりません。こうした習慣は、クホ族の家族のしっかりとした基盤を支えています。

そして、クホ族の社会のもう一つの特徴は、稲の神を祀る様々な行事があることです。稲作を本業とするクホ族は一年中、田植えの儀式、稲を早く実らせる儀式、収穫の儀式、倉庫に稲を保管する儀式など、稲作に関する儀式をたくさん行っています。その中でも、一番大切な儀式は、新米の儀式です。この儀式は、村人に豊作を与えてくれた稲の神様に感謝の気持ちを表すためだけでなく、クホ族の伝統文化を次世代に伝えるためでもあります。クホ族の一人クゾさんは次のように話しました。

(テープ) 

「新米儀式は、先祖から伝わる伝統ですが、今も、昔のまま行われています。それぞれの家族は、おこわやお酒などの供え物を用意して稲の神様と先祖に奉納します。これは、神様と先祖に健康と豊作を祈るためです。」

新米の儀式を始め、クホ族の儀式は、信仰的なものであり、クホ族のコミュニティを補強するものでもあります。


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