(VOVWORLD) - 農業を主たる生計としているコン族は、ほとんどの主要な行事を旧暦に従って行っています。これらの行事の中で最も重要なのはトウモロコシのお正月です。
ベトナム北西部ライチヤウ省ムオンテ県に居住している少数民族コン(Cong)族は人口がわずか2000人ほどで、ベトナムの54の民族の中で、最も少ない人口の民族です。しかし、この民族は今もなお、独特な文化を保っており、その中で、トウモロコシのお正月はこの民族の豊かな文化を示しています。
コン族の女性たち |
農業を主たる生計としているコン族は、ほとんどの主要な行事を旧暦に従って行っています。これらの行事の中で最も重要なのはトウモロコシのお正月です。トウモロコシの収穫後、新年を迎えることから、トウモロコシのお正月と呼ばれています。トウモロコシの収穫は5月末ですから、トウモロコシのお正月は旧暦の6月1日から始まります。この正月は、1年間、勤勉に働いた村人が休むためだけでなく、村の平穏な生活を守ってくれた神様と先祖に感謝の気持ちを表すためでもあります。そして、新年の豊作や幸運を祈るとともに、人間関係をしっかりとする目的もあります。
トウモロコシはコン族の主な食料ですから、トウモロコシのお正月に使われる主なお供え物は、トウモロコシを原料として作られています。お正月を控えた3、4日前になると、お正月を迎える雰囲気が村全体を包みます。みんな、充実したお正月を楽しみたいからです。
お供え物を準備しているコン族の一人 |
ライチャウ省ムオンテ県ナムカオ村に住むコン族の一人チュ・ティ・ライさんによりますと、お正月のお供え物は、どうしてもその家族による手作りでなければなりません。それは、神様と先祖に自分の心を表すためです。ライさんの話です。
(テープ)
「コン族のトウモロコシのお正月を準備するため、森へ薪やタケノコ、キノコ、山菜を取りに行く人もいれば、お供え物を調理する人もいますが、全員がその準備をしたいのです。」
お供え物は家族の経済的情況によって異なりますが、欠かせないものとして、茹でたトウモロコシや、トウモロコシパン、トウモロコシご飯などトウモロコシから作られた食べ物です。そして、山や森で採った自然の特産も欠かせないお供え物です。その中で、最も重要なお供え物はトウモロコシパンです。トウモロコシパンは、トウモロコシ粉を蜂蜜と混ぜて、ゾンというバナナの葉に似ている葉に包んでから、蒸します。
お正月の儀式 |
一方、トウモロコシご飯は、トウモロコシをもち米と混ぜて、ゾンの葉に包んでから、蒸します。これは、トウモロコシともち米のよい香りがするので、人の嗅覚を引き付けるものです。
また、豚肉や鶏肉、山菜、トウモロコシの酒などもあります。そして、12のカニは12か月を象徴するものとしてお供え物になっています。ムオンテ県に住むコン族の一人セン・ヴァン・ガンさんはカニは作物を守る神様の化身であると述べ、次のように話しています。
(テープ)
「カニはどうしても祭壇に置かなければなりません。これは昔から先祖がやってきた習慣ですし、今もなお、保たれています。」
トウモロコシのお正月の元旦、コン族の人々は、村の近くにある谷川へ行って、森の悪魔にタバコをあげる習慣があります。森の悪魔は最も強い悪魔で、よく村人に被害をもたらすので、タバコをもらうと、喜んで村人に被害をもたらさなくなると考えられるのです。
こうしたトウモロコシのお正月は近年、国内外の観光客の多くを引き付けていますが、これは、地元の人々の生活改善だけでなく、コン族ならではの文化保存と開発にも役立っています。