(VOVWORLD) - ベトナム北部丘陵地帯に居住している少数民族サンジュ族は独特な文化を誇りにしていますが、その中で、民謡「ソーンコ」(Soong Co)は、この民族の宝物として大切にされています。
民謡「ソーンコ」」を歌っているサンジュ族の女性たち |
15万人の人口を擁するサンジュ族の言葉では、「ソーン」(Soong)は歌う、「コ」(Co)は歌で、歌を歌うという意味です。この民謡は、男女の間の歌垣で、サンジュ族の考え方、気持ち、愛情、希望などを表します。
(ソーンコの歌)
ソーンコをお聞きいただきました。サンジュ族の伝説によりますと、昔々、大きな川に面したある村は人口が多くて豊かでしたが、ある日、神様が突然怒って大洪水を引き起こしました。大型ひょうたんの中に逃げたお姉さんと弟さんの2人以外、村人は全員が亡くなってしまいました。洪水後、周辺には2人以外、人がいなかったので、残された2人は結婚せざるを得ませんでした。その後、多くの子どもが生まれたものの、子どもたち同氏で結婚させたくないと思い遠いところへ行かせて結婚相手を探すことにしました。遠いところの若い男女に自分の気持ちを表すため、ソーンコを歌ったという伝説がありますです。
ソーンコの内容は、男女の恋愛、自然の美しさ、夫婦の情愛、ご先祖の恩、日常生活の中の教訓などですが、その中で、男女の恋や愛を内容とする歌が最も多いです。しかし、歌い手がその歌のメロディーと合わせて自分の好きな言葉を使って歌うという他の民族の歌垣と違って、ソーンコのメロディと言葉は決まります。つまり、歌い手は、相手の歌に基づいて、決まった歌の中から相応しい歌を選んで歌います。サンジュ族の民謡の研究者ホアン・ヴァン・タックさんは次のように話しました。
(テープ)
「サンジュ族の民謡「ソーンコ」の歌は4つの文からなり、それぞれの文には文字が7つあります。歌は、言葉以外の意味がありますから、よく考えないと、その意味は全然わからないでしょう。」
民謡ソーンコを歌うことは、いつでもどこでも自由です。畑でも市場でも祭りでも歌うことができますし、昼間でも夜でも歌うことができます。ソーンコを歌うと、歌い手は誰もが心を奪われるようで、離れたくないという魅力があって、徹夜して歌うのが一般的です。
しかし、現在、他の民族の伝統民謡と同様、ソーンコは、歌い手が少なくなっているという状況に陥っています。こうした後継者不足を前に、ソーンコの保存・発揮を目指す努力が始まりした。少数民族の民謡の研究者グエン・フォン・ゾアインさんは次のように話しました。
(テープ)
「サンジュ族は歴史が長く、伝統文化が豊かです。現在、ソーンコの古い歌が歌える人は祈祷師だけです。しかし、ソーンコの古い歌の収集作業は進んでいて、これらの歌を集める3、400ページの本が出版されました。」
そして、ソーンコのベテランの歌い手は、若者にこの民謡を教えるクラスを開いています。バクザン省に住むベテラン歌い手ダオ・ティ・ギーさんは次のように話しました。
(テープ)
「若者にわが民族の歌や古い言葉を理解してもらうために、ソーンコクラスを開くようにしています。また、古い歌を現在の言葉に訳しています。これはわが民族の伝統文化の保存のためです。」
そして、多くの地方で、民謡ソーンコクラブが設立され、若者を含む多くの人たちが参加しています。これらの努力により、民謡ソーンコは依然としてサンジュ族の村で歌われ続けることでしょう。