ベトナム中部高原地帯テイグエン地方に居住している少数民族ジェチェン族の衣服は、テイグエン地方に住むほかの少数民族と似たところが多いですが、ジェチェン族としての特徴もあります。
ジェチェン族の女性
昔、ジェチェン族は農閑期になると機織り機で布を織りました。ジェチェン族の機織り機は木と竹でできた簡単なもので、幅が短い帯のような布しか織りません。綿の木を5月に植えはじめて、10月に収穫します。収穫した後、ジェチェン族の女性たちは、綿をつむいで、乾燥させ、染めてから、縫います。その布から服に仕上げます。その服の目立つところは刺繍された模様で、ジェチェン族の衣服の特徴の一つとなっています。民族学を研究しているハノイ国家大学の研究者グエン・ティ・フィエンさんは次のように話しています。
(テープ)
「ジェチェン族の女性たちは、シャツではなく、ワンピースを着ています。このワンピースは丈が長くて、幅もかなり大きいです。胸、お腹、膝、そして、裾の部分には、横の模様があります。こうした模様によって、ワンピースの形ではなく、上はシャツ、下はスカートであるという感じがします。それはジェチェン族の衣服の特徴であり、この民族の衣服の美しさでもあります。それは、ジェチェン族の衣服が「民族衣装コンテスト」で受賞する理由だと思います。」
ジェチェン族の女性は髪が長いですが、よく襟首で結んでいます。銀や銅などの腕輪、足輪、イアリングを装飾品として使っています。経済的に余裕のある女性は、よく象牙でできたイアリングをしています。
ジェチェン族の男性
一方、ジェチェン族の男性は、髪が短く、よく頭が小さい布で覆われます。また、簡単な入れ墨をした男性もいます。男性の服は腰巻布ですが、暑くないときは、模様がついた大きなスカーフを肩にかけることが一般的です。先ほどの研究者グエン・ティ・フィエンさんは次のように話しています。
(テープ)
「ジェチェン族の腰巻布は丈が長いですが、幅が狭いです。その色は藍色です。そして、房飾りがありませんが、裾には模様があります。特に、ジェチェン族の男性は、ネックレスもかけます。祭りなどでは、模様がついた大きなスカーフを肩にかけています。」
ジェチェン族のこうした衣服は観光客の目を引いていますので、近年、テイグエン地方を訪れた観光客にとって一番買いたいお土産となっています。写真家協会で働いているグエン・トィウ・チェウさんは次のように話しています。
(テープ)
「少数民族の居住地の多くに足を運びましたが、ジェチェン族の衣服が一番印象深かったです。他の少数民族と同様、藍色の布を使っていますが、ジェチェン族の衣服の模様は独特です。特に、女性の衣服の模様は目立って、印象的です。」
現代生活の影響で、ジェチェン族の人々は、日常生活で洋服を着ている人が増えつつありますが、お祭りなどでは伝統的な民族衣装は依然として欠かせない存在であり続けています。