(VOVWORLD) - ベトナム南部ビンフォック省に集中的に居住している少数民族スティエン族は多くの独特な風俗習慣を持っていますが、その中で最も注目すべきことは結婚に関する風俗習慣です。
約9万人の人口を擁するスティエン族は、昔から、男女の結婚を決めるのは親ではなく、本人です。結婚したいと思ったら、そのカップルは双方の家族に知らせます。結婚の最初の儀式は、結納です。
結納を交わす式で、男性の家族は女性の家族へ2人の媒酌人を送り、結婚を申し込みます。スティエン族の村長ディエウ・ドさんは次のように語りました。
(テープ)
「結納で、男性の家族は、昔から決まった結納の品々を用意しなければなりません。その中でも、銀のネックレスなど装飾品は欠かせないものです。」
スティエン族の結婚式 |
村長ディエウ・ドさんによりますと、結納式で、女性の家族は、男性の家族に求める婚礼用品を知らせます。かつて、その婚礼用品は、女性の両親の結婚で使われた婚礼用品と大体同じでした。両家族の親族の前で、女性のお父さんは媒酌人を通じて男性のお父さんに婚礼用品のリストを渡します。婚礼用品は、水牛、豚、お酒などを含めますが、どうしてもジャベリンを用意しなければなりません。ジャベリンとはスティエン族の考えで男性の力を象徴するものであるとしてます。スティエン族の一人ディエウ・ティ・キアさんは次のように話しました。
(テープ)
「婚礼用品は文化的意味があります。その中で、ジャベリンは、水牛を突き殺す祭りを始め、スティエン族の祭りでよく使われるものです。ジャベリンがあるかぎり、結婚は順調に行われるということです。」
水牛は結婚式に欠かせないものです。 |
かつて、もし、男性の家族は、女性の家族が求めた婚礼用品を充分に用意することが出来なければ、結婚式後、男性は、それが充分に用意されるまで女性の家に住まなければなりません。あるいは、結婚式は1、2年先延ばしになり、男性の家族が婚礼用品を充分に用意するまで行われます。男性の家族の親戚も婚礼用品の用意を助けるという習慣でした。
男性の家族は、結婚式のパーティーを準備するため、豚と鶏をよく使いますが、水牛は欠かせない料理となります。また、花嫁への贈り物としては、イヤリングやネックレス、ドレスなどを用意するのに対し、女性の家族は、男性の家族のメンバーへの贈り物として錦の織物を用意します。
結婚式で、両家族はもちろん、村人全員は、銅鑼を叩いたり、お酒を飲んだりして新夫婦にお祝いをして、楽しいひと時を過ごしました。先ほどのキアさんは次のように話しました。
(テープ)
「皆さんは宴会しながら、新夫婦が幸せな生活を送るようにお祝いをします。結婚式の後、参加者らは、ちょっとしたお肉が配られます。これは、コミュニティの団結を示す習慣です。」
現在、スティエン族の結婚は、大量の婚礼用品を求めることや、それを充分に用意するまで結婚式を1、2年間控えることなどが無くなり、かつてより簡素化されました。しかし、結婚式はその家族だけでなく、村全体の行事であり、続いているなど、よき習慣が保たれています。