(VOVWORLD) - 山岳地帯に居住している少数民族タイ族は、大自然を大切にしながらも、平穏な生活を送っています。こうした生活の中には、自然との調和が取れた伝統的な高床式の家があり、タイ族の文化を支える柱の一つです。
およそ150万人の人口を擁するタイ族はベトナムの53の少数民族の中で、2番目に人口が多い民族です。北部の山岳地帯や北中部に住んでいるタイ族は山の厳しい気候に対応できるような高床式の家を建てています。
タイ族の高床式の家 |
北西部山岳地帯のライチャウ省の省都ライチャウ町から30キロ離れたところにあるヴァンフェオ村は、タイ族の最も古い村で有名です。この村に足を運ぶならば、誰もが、伝統的な高床式の家が並んでいる平穏な風景に魅了されるでしょう。
タイ族の伝説によりますと、昔々、タイ族が家の建て方を知らない時代のこと、夢の中で、ある亀が「私の体をまねして家を建てよう」とアドバイスしてくれました。タイ族の人々は亀の話を聞いて、亀の甲羅の形をした高床式の家を建てたという伝説です。タイ族の一人ヴォン・ティ・ミンさんは次のように語りました。
(テープ)
「昔、タイ族は土地に直接家を建てていましたが、その家は湿度が高いですから、土地からの高さ約1メートルの家を建てるようになりました。そして、昔は猛獣がたくさんいたので、猛獣対策としてその高さを徐々に高めました。最初は、階段が5段もある家を建てましたが、その後、7段、そして、9段になりました。その家の建て方は代々伝えられています。」
タイ族の高床式の家は竹や木が使用され、屋根は木の葉や草葺が中心です。また、木と木を繋なぐ時には釘を使わず、縄の代わりに籐で縛ります。また、木を縛るに際し、工夫を凝らさなければなりません。屋根の上にカウクットという竹の棒が2本置かれます。竹の棒に彫刻された模様は社会的な階級を示しています。金持ちの家ならば、竹の棒に蓮の花の模様が彫刻されますが、一般の家なら、何もありません。また、新婚夫婦の家ならば多産の繁栄を祈るため、竹の棒に妊婦の模様が彫られています。
建設中の高床式の家 |
家のそれぞれの部屋は一定の役割があり、適切に配置されています。家の中心にある部屋は神聖な所でそこに祭壇が置かれます。この部屋は男性しか寝ることが出来ません。女性、とりわけお嫁さんはこの部屋を通過する時、体を曲げなければなりません。家の前方に両親と息子、後方には娘とお嫁さんが住みます。また、機織用の部屋も重視されています。
以前は機織ができない女性は結婚できませんでした。というのは自分で作った布団や枕などは女性が結婚に際し、夫の方に持っていく持参品となるからです。また、夫の両親などに織物を贈るためには、たくさん機織をしなければなりません。そんなわけで、機織用の部屋は重視されていました。娘がいる家庭は必ず織機がなければなりません。それも、娘の寝る部屋の近くに置かれます。
少数民族の文化の研究者ラム・バ・ナムさんによりますと、伝統的な高床式の家はタイ族の生活を物語るもので、タイ族の文化を理解するためには、高床式の家を研究するのが重要であるとしています。ナムさんは次のように話しました。
(テープ)
「タイ族の文化について触れるならば、高床式の家を抜きにして語ることはできないでしょう。この家はタイ族の文化を象徴していると言えるからです。タイ族の人々が生まれてから死ぬまでこの家で暮らすので、タイ族の全ての風俗習慣はこの家が目撃しているといえます。」
大自然の中で立っているシンプルながらも、しっかりと建てられたタイ族の高床式の家はこの民族の人々の現れであると言われています。それは、自然と密接につながって暮らす地味ながらも堅実な人たちです。そのいう人たちは今もなお、伝統的な文化などを守っています。