チャム族が育んだ伝統の味

(VOVWORLD) - ベトナム中部ビントゥアン省に暮らす少数民族チャム族の豊かな文化遺産の中でも、伝統的な祭りの食文化は特に注目を集めています。現在では、ムイネーベイやパンダナスリゾートなど同省の有名なリゾートで、この伝統的な味わいを観光客も楽しむことができるようになりました。
チャム族が育んだ伝統の味 - ảnh 1独特の野菜「ラーゲム」を添えた山羊のスープを紹介しているルー・クオック・ティエンさん

チャム族の祭りには、ショウガ餅、もち米のデザート、魚料理など、様々な伝統料理が登場します。中でも特徴的なのが、独特の野菜「ラーゲム」を添えた山羊のスープです。昔のチャム王族の代表者であるルー・クオック・ティエンさんは、「私たちの料理は贅沢なものではない。野菜、肉、魚醤といったシンプルな食材から、繊細で風味豊かな料理を生み出すところに特徴がある」と語り、次のように述べました。

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「私たちは、バクビン県のチャム族の料理人を招き、伝統の味を国内外の観光客に提供しています。『チャムビュッフェ』では、ラーゲムを添えた山羊のスープや香り高いスパイスで焼き上げた山羊肉、チャーハンと楽しむ焼き鶏、イワシとマンゴーの爽やかなサラダ、風味豊かなショウガ餅など、カテー祭りの伝統料理を色とりどりに取り揃えています」

観光客からは、「チャム族の料理からは、この土地の日差しと風を感じる」という声が聞かれます。ポーランドからの観光客ラデックさんは次のように語りました。

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「初めて口にする山羊のスープは、コクと爽やかさのバランスが絶妙です。薄切りにした様々な野菜が入っているおかげで、重たさを感じることなく楽しめます。新鮮な肉の旨みも格別で、本当に素晴らしい料理との出会いでした。」

チャム族が育んだ伝統の味 - ảnh 2ショウガ餅を作っているチャム族の女性たち

チャム族の食文化は主菜だけではありません。宗教儀式で使われる伝統的な餅菓子も重要な要素です。筒状の餅「バインテット」やロール菓子「バインクオン」、ショウガ餅などは、全て地元の田畑や山、海の恵みを用いており、素朴な生活を映し出しています。

近年、ビントゥアン省はチャム族の食文化を観光資源として積極的に活用しています。毎年9月末から10月初めに開かれるカテー祭りでは、伝統文化を紹介する専用エリアが設けられ、地元の食材を活かした料理の数々が観光客の人気を集めています。

また、ビントゥアン省ムイネーにあるパンダナスリゾートでは、週末になるとバクビン県からチャム族の料理人を招いて、伝統的なチャム料理を提供しています。地元で採れる新鮮な野菜、香り高いスパイス、新鮮な海の幸や肉を、地域に伝わる調理法で見事な一皿に仕上げています。

こうした取り組みは、チャム族の食文化を広く知ってもらうきっかけとなり、伝統的な祭りへの観光客の関心も高まっています。この文化交流の橋渡し役となった収集家のグエン・ゴック・アンさんは、特に山羊のスープを推しています。「一見シンプルな料理ですが、代々受け継がれてきた特別な味わいを生み出すには、伝統的な調理法を知る必要があります」と説明しました。今では多くのチャム族の家庭で作られるようになったこの伝統の味は、観光客の間でも人気を集めています。アンさんの話です。

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「この取り組みは、私たちの地域の観光発展に大きな意味を持っています。現在ではヨーロッパなど30カ国以上から観光客が訪れ、ビントゥアン省、そしてベトナム全土に根付くチャム族の豊かな文化に触れていただいております」

チャム族は、他の民族に見られない独特の食文化を大切にしています。ビントゥアン省は、この文化的資産を活かし、食のブランド化と観光振興に力を入れています。

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