チャム族の女性の民族衣装 (写真: Bao Ninh Thuan)
チャム族の民族衣装はその機織技術や審美感、文化、宗教の特徴を示しています。チャム族の社会においてそれぞれの階級は独特の衣装を着用し、チャム族の豊かで多様な民族衣装を作り出しています。今日はそんなチャム族の衣装の中の一つ女性のロング・ジャケット、長い上着をご紹介します。
チャム族の女性の長い上着はア・カメイ・カムと呼ばれ、シフォン、レース、ベルベットなどで作られます。この服は女性の魅力を強調しています。中部ニントゥアン省のチャム族劇団のタイン・ティ・ジエム・チャウさんは次のように話してくれました。
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「私は自分の民族を誇りに思っています。チャム族の衣装はデザインが多様で、色とりどりです。それぞれは聖職者で宗教の意味合いがあります。」
チャム族の女性の長い服は両脇にスリットがなく、エリは丸クビ、あるいはハート型です。膝まである服はアタフと呼ばれ、袖は腕にピッタリ合わせ、身頃は少し広めです。若者がよくこの服を着用しています。もう一つはア・ドワ・バウンと呼ばれているもので、長さは足のふくらはぎまでで、体のラインにピッタリ合わせ、女性を優雅にさせます。こちらは両脇にスリットがあり、ホックで留めます。ニントゥアン省に住むチャム族のダット・チュさんは女性の伝統衣装は長い上着とスカート、そしてスカーフのセットであると明らかにし、次のように語りました。
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「この3つはチャム族の民族衣装に欠かせないものです。チャム族の女性は控えめな衣装を着用しています。また、スリットが入らない長い衣装を着て歩くと様姿が魅力的に見えるでしょう。」
日常生活で長い服の使用目的は違っています。毎日、着用する服は「ア・カウ」で、祝日に着用する服は「ア・サフ」と呼ばれています。昔、長い服は7枚の身頃を縫い合わせていたものですが、それぞれの身頃の色が異なっています。これは労働の場で、着用される仕事着です。現在も年を取った女性は畑仕事や家事をする時、よくこの服を着ています。
チャム族のカテやラムワンなどの伝統祭りや女性の成人式、結婚式など人生の重要なイベントに女性の美しさを際立たせる色とりどりの衣装が披露されます。ただ、衣装の色は通過儀礼に沿わなければなりません。例えば、結婚式や祭りには派手な衣装でも構いませんが、教会に入る場合は白の服でなければなりません。中部クァンナム省に住むミーソン芸術団のチュオン・ティ・ホアン・フィさんは次のように述べました。
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「祭りの時、チャム族の女性は祭り用の衣装を着用します。カテ祭りの衣装は長いスカーフと2本の紐がセットになります。日常の服には紐がありません。紐はミーギエップ村で織られたものです。」
現在、チャム族の女性の長い衣装は改良され、デザインなどが微妙に変わり、現代化されていますが、民族色は保たれています。チャム族の独特な長い服はベトナム各民族の豊かな衣装の一翼を担っています。