チャム族は畑に囲まれている高地に住んでいます。それぞれの家族や一族は正方形、あいるは長方形の土地に建てられた家々に住んでいます。では、チャム族の村と家の建築様式についてご紹介します。
チャム族は高い樹木には「鬼が宿る」と考えられていることから、村内には高い樹木を植えません。家々は建ち並んで、2本の道の真ん中に挟まれています。民族学博物館・文化研究収集室のレ・ズイ・ダイ室長は次のように語りました。
(テープ)
「通常、チャム族の住居は東西の方向に建てられます。また、村内の道は南北や東西の方向に走っています。それで、チャム族の住居は真っ直ぐな道路に沿って建てられます。」
チャム族の母系社会では、娘の夫婦は一軒の家屋を所有します。一家の住居をみて、結婚している娘の数がわかります。また、家族の階級も住居の数を決定する要素となっています。さきほどの民族学博物館・文化研究収集室のレ・ズイ・ダイ室長は次のように話しました。
(テープ)
「役職者や貴族階級の敷地には7軒の家屋があります。貧困層は5件しかありません。貴族階級の7軒の家屋の中の5軒は居住用ですが、残りの2軒が農具を置く所と粉屋です。」
これらの家屋の中で、タンゾと呼ばれる住まいは最も重要な場所です。ただ、貧困層の住まいはタンゾではなく、ニャルンと呼ばれています。建築様式や敷地での位置などは同じですが、呼び方が違うのとはチャム族の貧富の差を示しています。さきほどのダイ室長は次のように述べました。
(テープ)
「タンゾという住まいは新婚夫婦向けに建てられたものです。長女が結婚年齢に達してから、そのタンゾに住み続け、両親はタンラムという住まいに入居します。次女は結婚年齢に達してから、古いタンゾの住まいに移り、長女はムザウという新宅に入居します。」
敷地にはそれぞれの家屋は特別な理由で一定の場所に建てられます。さきほどの民族学博物館・文化研究収集室のレ・ズイ・ダイ室長は次のように説明してくれました。
(テープ)
「家屋は勝手に建てるのではなく、特定の位置があります。例えば、タンゾは東北方向に建てられます。チャム族の考えではこの方向は成長を意味するのです。その後ろに井戸があります。また、タンラムという家屋はタンゾのそばに建てられ、正門は南方に面します。タンゾの正面は西方を向いています。」
チャム族の住居をみると、昔のチャム族の大家族は現在、核家族になっていることがわかります。ダイさんは次のように話しました。
(テープ)
「今、一家の敷地に5軒、ないし7軒の家が建てられることはありません。ただ、いくつかの敷地に家屋の構造が保たれています。また、家屋の位置も維持されています。」
現在、チャム族の村は大きく生まれ変わり、現代的な高層家屋が次々に現れています。しかし、家の建設に関しては、昔と同じようにチャム族のカレンダーを元に起工式が行われています。