(VOVWORLD) - 稲作を本業とするベトナムの多くの民族にとって、新米収穫祭りは最も重要な行事の一つです。北西部山岳地帯に居住している少数民族テイ族の精神の拠り所としてこの祭りは、特別な意義を持っています。
新米を祀る儀式を準備しているテイ族の女性 |
旧暦の10月ごろに行われるテイ族の新米祭りは、豊作を与えてくれた神様に感謝の気持ちを表すとともに、今後の豊作を祈願することが狙いです。この祭りは、テイ族の信仰を示すだけでなく、テイ族の主要な食料である稲に対する顕彰の現われでもあります。また、神様はもちろん、先祖にも感謝の気持ちを表す目的もあります。ラオカイ省に住むテイ族の一人マ・ヴァン・カインさんは次のように話しました。
(テープ)
「テイ族は昔から、新米祭りで先祖に感謝する習慣もあります。先祖にいろいろお世話になったからです。これは、我が民族の歴史を大切する意識でもあります。」
収穫の2、3週間前になると、村の祈祷師は佳い日を選んで、村人は集まって新米祭りの準備について話し合います。その日に、一番美しい稲穂を刈り取って祭壇に置き線香を手向けます。祭壇には稲の穂の他に、鶏肉、豚肉、魚などのお供え物が置かれますが、絶対に欠かせないお供え物として、おこわや、お餅、おかゆなど、コメから作られた食べ物です。ラオカイ省の文化担当者グエン・ヴァン・シエトさんは次のように語りました。
(テープ)
「それぞれの家族はお供えものを準備して儀式を行います。その後、親せきなどを招いて宴会を開きます。宴会で、皆はこの1年にできたこととできなかったことについて分かち合って、これからの抱負などを語ります。」
テイ族の人々は、稲をはじめ、どんなものにも魂があると考えていることから、新米を祀る儀式を盛大に行います。そのため、経済的に余裕がある家は祈祷師に頼んで新米を祀る儀式を行ってもらいます。祈祷師は、テイ族の伝統的な琴「ティン」のメロディーと合わせて拝みます。
(テープ:祈祷師が拝む音)
祈祷師は拝むとき、天と地の誕生に関する伝説や、稲に関する物語、稲作に関する経験なども語ります。こうした新米祭りは、テイ族の伝統を若者に教えることに役立つもので、これからもしっかりと保たれることでしょう。