(VOVWORLD) - ベトナム北部山岳地帯に居住している少数民族テイ族の衣服は他の少数民族と違って目立つこともなく、藍色を基調としており、刺繍などもあまりありません。こうした衣服はこの民族の文化や習慣を反映しています。
民族衣装を着ているテイ族の人々 |
テイ族は多くのグループに分けられ、それぞれのグループの衣服には相違点がありますが、シンプルなスタイルという点では共通しています。その衣服の特徴は模様なども華美ではないし、色も藍色だけです。テイ族の伝説によりますと、昔々、ある女性がいました。彼女は、戦場に赴いていた恋人がなかなか帰らないので、戦場に彼を探しに行きました。しかし、途中で疲労のために亡くなってしました。彼女が亡くなったところに、香りがする木が成長しました。テイ族の人々は、この木を使って布を藍色に染めるようになったと言い伝えられています。
織りためた布を染めるのは夏の間の仕事です。初夏の7月ごろ、根を残して刈り取った藍の草を女性たちは樽にぎっしり押し込み、水と灰汁、それから、蒸留酒及び細かく砕かれた桃の種の芯も少し加えます。40度にも及ぶ日中の高温の中で藍は自然のままで醸され、三日もすれば見事な藍に染まるのです。藍と綿は実に相性が良く、10回ほど染めれば、十分な濃さが出ますし、摩擦に弱くけば立ちやすい繊維もしゃっきりと張りが出て強さも増します。
テイ族の文化の研究者グエン・クアン・ハインさんは次のように話しました。
(テープ)
「テイ族の人々は、刺繍などがほとんど施されない藍色の衣服を着ることで見分けられます。テイ族の衣服は色とりどりではないが、その美しさは地味さから生まれたものです。また、それは、この民族の温和でおしとやかな性格を反映しています。」
テイ族の女性の民族衣装は、ドレス、ズボン、ベルト、及び、頭巾というセットになります。ドレスは膝の下までで、襟が丸いです。ズボンはウェスト部分も裾幅も大きいです。ベルトは幅が10センチほどの布ですが、色は赤、青、など様々です。
しかし、現代生活の影響で、日常生活で民族衣装を着る人が減りました。そのため、伝統的な藍色の布を作れる人が少なくなっています。カオバン省バオラク県に住むテイ族の一人ホア・ティ・ニャンさんは次のように話しました。
(テープ)
「18、19歳のころ、藍色の布をつくることができるようになりました。この仕事は大変ですよ。私の村では、布を藍色に染めることができるのは3人だけです。若者はしたくないのです。でも、国の支援があるので、テイ族の文化である藍色の布を作る仕事を守りたいと思います。」
現在、テイ族の伝統的な藍色の布は少数民族居住地を訪れる観光客にとって最も人気のあるお土産のうちの一つです。観光が発展するにつれて結果的にテイ族の生活と文化が守られることが期待されています。