(VOVWORLD) - こうした取り組みによって、パコ族の村に足を運べば、民族衣装を着ている人の姿をよく見かけることでしょう。
ベトナム中部に居住している少数民族パコ族は、籐細工や竹細工、錦織りなどの伝統的工芸を誇りにしていますが、錦織りは、現代生活において洋服を着る人が多くなっているので、衰退してゆく恐れがあります。そのため、錦織りの保存は差し迫った課題となっています。
パコ族の錦織りは黒または藍色をベースにして、赤と白も少し施します。そして、絵柄の中心は動物や鳥、植物、日常生活の様子などを描く様々な模様です。これらの模様は、日常生活を反映させるとともに、大自然に関するパコ族の考え方を示しています。しかし、洋服を着る人が多くなるにつれて、伝統的な民族衣装を着る人が減りましたので、錦織りが消滅の危機に追いやられた時期もありました。こうした事態を前に、伝統的な錦織りを保存・開発するための取り組みが始められました。
パコ族の居住地である中部クアンチ省ダクロン県アブン村は、錦織りの保存にけん引役を果たしています。現在、この村には、錦織りチームが4つあり、合計で25人の職人がいます。その中の一人ドアン・ティ・ガさんは、錦織りは単なる生活に使われるものではなく、パコ族の精神を示すものでもあると語り、次のように話しました。
(テープ)
「これは、先祖から伝わるパコ族の伝統的工芸ですから、民族の誇りが失われならないように、その保存に取り組んでいます。また、自分自身にとってはこれは興味深い仕事です。」
錦織りの保存を支援するため、アブン村の行政府は、錦織りを使ってスタッフが月曜日に着用する制服をつくることにしたほか、村人に対し、祭りだけでなく、日常生活においても民族衣装を着ることを奨励しています。これにより、近年、この仕事によって村人の収入が増えています。アブン村人民委員会のホー・ヴァン・ヒエン副委員長は次のように語りました。
(テープ)
「村人は畑仕事のかたわら、暇をみては錦織りを作っています。これは家族の収入を増やしています。村の行政府は、行政府のスタッフの制服の他、生徒の制服も錦織りを使うことを奨励しています。また、村の祭りなどでは、皆、民族衣装を着ています。」
ダクロン県には、アブン村の他、パコ族の錦織りをしている村が2つもあります。ダクロン県人民委員会のホー・ティ・キム・クック副委員長は、パコ族の錦織りをはじめ、伝統的な工芸を保存・開発する方針であると明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「数年前までは、錦織りが衰退していましたが、この伝統的工芸を保存・開発する決意で、私たちは、各企業や組織に、錦織りの保存・開発を支援するよう呼びかけたほか、錦織りの生産・消費などにいろいろな便宜を図っています。」
こうした取り組みによって、パコ族の村に足を運べば、民族衣装を着ている人の姿をよく見かけることでしょう。