ザオ族の伝統的な紙は、ベトナム北部山岳地帯に生息している「ヴァウ」（Vau）という竹から作られ、薄い黄色を持つ丈夫な紙です。この紙は、紙製の祭祀用品を作るほか、墨汁で対句などを書くのによく使われています。

ザオ族の製紙

ザオ族のこの伝統的な紙の有名な産地は北部ハザン省バククアン県タインソン村です。タインソン村には100世帯のザオ族が住んでいますが、そのほとんどはこの紙の生産に従事しています。村のお年寄りの話によりますと、タインソン村の人々がこの伝統的な職業を始めたのは約100年前のことでした。

タインソン村のベテラン職人リ・ティ・ホンさんは親から製紙のつくり方を教わり、この30年間ずっとこの職業をしています。ホンさんは、製紙の原材料は森や庭から簡単にとることができるが、製紙過程そのものは簡単ではないと述べ、次のように話しました。

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「若い竹「ヴァウ」を石灰水の中に1、2か月ほど漬けます。その後、掬って水できれいに洗った後、また水の中に１ヶ月ほど漬けます。その後、竹を細かく潰して粉の状態にします。その粉を水に混ぜてから紙をつくります。」

この製紙過程は力強さと注意深さが求められます。先ほどのベテラン職人ホンさんは、「そうしないと、紙の質が悪くなる」と述べ、次のように話しました。

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「毎日、竹が完全に冠水するかどうかチェックしなければなりません。完全に冠水しないと、製紙はできません。かつては、竹を足や手で細かく潰しましたが、近年は機械を導入したことでより楽になっています。」

機械が導入されたものの、竹を細かく潰す過程以外はすべてが手でやられています。また、原材料や作り方もかつてと比べて変わりません。タインソン村の職人ロ・ティ・ヴィエンさんは次のように話しました。

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「1日、5つのロールを作ることができますので、1日は平均で2000枚の紙を生産可能です。この紙はお正月や行事などに欠かせないもので、子孫がこの仕事を受け継ぐように今もなお続けています。」

この製紙業は安定してかなりいい収入をもたらしていますので、タインソン村の人々にとって主な収入源となっています。タインソン村の村長ロ・ドク・チウさんは次のように話しました。

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「伝統的な製紙業をほこりに思っていますので、できるだけ維持・発展させたいと思います。私たちは、次の世代にこの職業の歴史などを理解してもらえるように、この職業に関する展示場を建設しようと思っています。幸い、多くの若者がこの職業に興味を持っています。」

近年、伝統的な紙の製紙は、観光客にとって魅力的なものとなっており、この地の豊かさにつながると期待されています。