ベトナム北部山岳地帯のハザン省とトゥイエンクアン省に居住している少数民族パテン族は、人口わずか6000人ほどですが、豊かな文化を保っています。その中で、女性の民族衣装はこの民族の独特な文化の一つです。

パテン族の民族衣装

山々に居住し、厳しい天候に対応するため、パテン族の女性は足元から頭まで防御する服装を着用します。女性の民族衣装の特徴は、帽子から、シャツ、スカートまでの色調が赤だということです。山々の緑の中に住むので、赤い服装は非常に目立ちます。赤はパテン族が最も好きな色です。

ハザン省に住むパテン族の一人フー・ティ・ティエンさんは次のように話しています。

（テープ）

「パテン族の女性の衣装の主要な色は赤です。赤は、神様の化身とされる火の鳥の色で、パテン族の渇望を示しています。パテン族は赤を大切にしています。」

パテン族の女性の民族衣装は襟なし長袖シャツ、くるぶし近くまでのスカート、丸い帽子からなっています。赤ベースの上に、白、黒、オレンジの布が巧みにつけられるほか、山や星、鳥の形、ひし形などがしている刺繍もあります。また、腰に白い紐が縛られますが、これは女性の優雅さを引き立てると言われています。

そして、この民族衣装のもう一つの特徴は丸い帽子です。この帽子は、頭に布を何回も巻いてつくられるものです。帽子の両側から、色とりどりのリボン2本が垂らされます。こうした帽子によって、遠くから見てもパテン族であることがすぐわかります。

パテン族の女性は、結婚する前、自分で民族衣装を作らなければなりません。そのため、民族衣装は、女性の成長を示すものでもあります。男性が結婚相手を探すとき、まず女性が身に付けている民族衣装を見て判断する人が多いようです。衣装はその女性の勤勉さと器用さを示すものだと考えられています。

ハザン省に住むパテン族の一人フー・ティ・ズイエンさんは次のように話しています。

（テープ）

「民族衣装はパテン族のアイデンティティを示すものの一つです。そのため、私たちは子供に民族衣装のつくりかたを教えていますよ。女性ならば、民族衣装をつくることができなければなりません。これは、パテン族の伝統文化を保つからです。」

パテン族の女性は、民族衣装を着るとき、銀のネックレスと腕輪をはめる習慣があります。赤い衣装と白い装飾品との調和は女性の美しさを表わすと言われています。

こうした民族衣装は、パテン族の誇りで、今もな大切に保たれています。