感謝祭は2種類あります。一つ目は個人の感謝祭で、簡単に行われるのに対し、二つ目は村の感謝祭なので、村人全員が参加する大規模なものです。ザライ省クバン県に住むディン・プリさんによりますと、個人の感謝祭は簡単なので、お供え物はもし豚肉や鶏肉があればいいですが、ちょっとしたお酒や果物だけでも大丈夫です。ディン・プリさんの話です。

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「ある人がどこかへ行って無事に戻ってきた後、または、何かの成果を収めた後に感謝祭を行います。これは、神様のお陰によるものだと考えられるからです。」

それに対し、村の感謝祭は収穫後の12月に行われ、村の豊作や平穏を与えてくれた神様に感謝の気持ちを示すことが狙いです。その1か月前に、村人は感謝祭の準備を始めます。男性たちは感謝祭の開催場所である村の集会所「ロン」の手入れや、神様に供える鶏・豚の用意を担当するのに対し、女性たちは感謝祭の宴会用の料理の用意や掃除などを担当します。感謝祭の開催日は村長が威信のある人と相談して決めます。先ほどのディン・プリさんは次のように話しました。

（テープ）

「村長を始め、威信のある人が相談して決定しますが、村人の意見を聞かなければなりません。そうすると、村人のほとんどが感謝祭に参加できるからです。」

感謝祭のお供え物の用意は最も重要な準備作業です。お供え物はお酒や米、鶏、豚、ヤギ肉などですが、その前に、村が平穏を祈る儀式を行えば、感謝祭に欠かせないお供え物は水牛です。お供え物は村の各家族が自分の経済的余裕に基づいて用意します。

感謝祭の開催日に、村長は村人を代表して、お供え物を神様にささげながら、感謝の言葉を述べる儀式を主宰します。この儀式は約1時間にわたって行われますが、儀式の際は必ずドラが演奏されます。バナ族の人々は、ドラは神様の化身なので、神様を感謝祭に招待できると考えるからです。ザライ省クバン県に住むディン・ティンさんは次のように語りました。

（テープ）

「感謝祭では神様に感謝するとともに、村に病人が出ないように祈ります。もし、病気にかかった人がいれば、早く治るように祈ります。また、重要な出来事がある家族は、その出来事が無事に終わることを神様に祈ることができます。」

バナ族の感謝祭は人々に感謝の気持ちを育てるためのものとして、今もなお、大切にされています。