ベトナム北西部に居住している少数民族ハニー族は一年中多くの祭りを楽しんでいますが、その中で、最も大きく重要なのは「ク・ザ・ザ」という祭りです。ハニー族の言語では、「ク・ザ・ザ」とは豊作という意味で、この祭りは神に豊作を祈願するものです。
お供えの準備
ク・ザ・ザ祭りは、旧暦の6月に4日間で行われます。この祭りは、神様に豊作を祈ると共に、収穫した農産物を先祖に献上します。ク・ザ・ザ祭りの意義について、文化研究者のラム・バー・ナムさんは次のように話しました。
(テープ)
「ク・ザ・ザ祭りはハニー族の文化に密接につながっています。山岳地帯に住む民族の祭りの多くは繁殖を意味しますが、ク・ザ・ザ祭りは、繁殖のほか、自然保護も目指します。また、この祭りは、ハニー族のコミュニティのしっかりとしたつながり、及び、この民族ならではの文化を示しています。」
ク・ザ・ザ祭りを準備するため、村長は各家族の代表を集めて、供え物や儀式用品などの用意について話し合います。祭りの前日、村全体は祭りの準備作業でにぎわいます。女性たちはお餅やおこわなどお供えを作る一方、男性たちは儀式の場として使われるテントを張ると共に、ブランコとぎったんばっこんといわれるシーソーを作ります。
ブランコの遊び
シーソーの遊び
祭りの供え物として欠かせないものは水牛です。水牛は黒くて元気な雄牛で、他の村で買わなければなりません。それぞれの家族の一人の男性からなるチームはその水牛を殺し、神様に捧げます。奉納儀式の後、水牛の肉は村の各家庭に配られます。ラオカイ省バッサト県イティ村に住むチュ・ト・チェさんは次のように話しました。
(テープ)
「それぞれの家族は水牛の肉を持ち帰り自分の家でまた参拝します。これはハニー族の風習です。例えば、村に50の世帯があれば、水牛の肉を等しく50に分けて配ります。その分量は年によって違いますが、これは、市場で買うお肉ではなく、供物として1年で1回しか配られないものなので大切にされます。」
ク・ザ・ザ祭りでは、儀式の後、遊びの部があります。ハニー族の伝説によりますと、収穫の後、天から来た神様はブランコとシーソーが好きで、楽しく遊ぶといわれます。ですから、ブランコとシーソーはク・ザ・ザ祭りにとって欠かせないものです。また、ブランコとシーソーで遊ぶとき、必ず男性のチームと女性のチームがあります。これは、陰陽のバランスが取れた状態を象徴するもので、繁殖を重視するハニー族の文化を示します。その他、ク・ザ・ザ祭りでは、歌垣や獅子舞、伝統舞踊なも楽しむことができます。
こうしたク・ザ・ザ祭りはハニー族の文化の特徴を表すと言えるもので、現在もなお、この民族の生活で重要な存在であり続けています。