北部山岳地帯ハーザン省、省都のハーザン市からおよそ6キロ離れた所にハタイン観光文化村があります。これはティ族の村であり、伝統的な住居の建築様式が保たれています。ティ族の高床式の家は民族の文化的・精神的価値を持ち続けるだけでなく、住民の象徴と見做されています。
ハタイン集落には100戸あまりのティ族の高床式の家が山々の斜面に建てられます。それぞれの住居は独特の文化価値を保存し、その家族の博物館とされています。こうした住居に住んでいるグエン・ティ・ディエンさんは「家が古くなっても、転居するつもりはない」と話し、次のように語りました。
(テープ)
「私たちの夫婦は古い住居を修繕しました。林に木々を切りに行きました。村人が手伝ってくれました。何か用事があれば互いに手伝い合います。」
高床式を建てるには工夫が必要です。柱や床、ヤシの葉、板など、建設資材を調達するため、山林に行かなければなりません。ハタイン集落の住民グエン・ティ・ホエさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「資材を十分に用意するまでにおよそ10年かかりますよ。家の柱は樫などの貴重な木でできています。これは祖先から伝わる風習ですから、受け継がなければなりません。」
ティ族の伝統的な住居は職人の器用な腕により、釘や鉄を使用しなくても、頑丈に建てられます。地面から床までの高さは2メートル以上あります。これにより獣から守られると同時に食糧を備蓄する場所にもなります。屋根はヤシの葉で葺かれ、屋根の柔らかさを作り上げます。屋根にはおよそ1千枚のヤシの葉を必要としますから、親戚や隣人にも頼まなければなりません。先ほどのホエさんは次のように語りました。
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「ヤシの葉を切り出すため、3日はかかります。村長に情報看板に知らせを書くよう頼む必要があります。これは昔から伝わる規則です。屋根葺きのため、ヤシの葉はおよそ1100枚が必要です。この家は涼しくて、通風が良いです。また、ヤシ屋根は雹にも耐えて、30年間以上も長持ちしています。」
高床式の家は複数の部屋に分けられ、真ん中の部屋は祖先の祭壇が置かれる場所です。一方、階段は9段あり、女性の魂を構成する9つの部分、また、人間の基本的感情を象徴する9ヵ所と考えられています。来客があるとホストは階段を降りて迎える必要があります。ところで、2つの階段があるタイやムオン族の住居と違って、ティ族の家では階段は1つしかありません。これはティ族の住居建設に関する文化の特徴です。