(VOVWORLD) - テイグエン地方に住む少数民族の中でも、ムノン族は野生の象を飼い慣らすことで有名で、象に関する儀式をよく行っています。
ベトナム中部高原地帯テイグエン地方は象の生息地でもあり、人と象が一緒に暮らしていることでも知られています。17の少数民族が共存するテイグエン地方には様々な文化がありますが、象に関する文化はこの地方の豊かな文化の柱の一つといえます。この地方に住む少数民族の中でも、ムノン族は野生の象を飼い慣らすことで有名で、象に関する儀式をよく行っています。
ムノン族にとって象は、大きな財産であるだけでなく、日常生活と精神生活においても重要な位置を占めています。そのため、ムノン族の儀式の中で一番重要なのは象に関する儀式であると言えます。象に関する儀式の中で最も重要なのは、象を村の一員に迎える儀式です。かつて、野生の象を捕まえた後、人間に懐くまで約2、3ヶ月かkて飼い慣らしました。人間と一緒に暮らせるようになったら、象を村の一員に迎える儀式が行われます。この儀式は、神様に村の一員になるその象の資格を認めてもらうとともに、その象の健康と象の所有者の幸運を祈るためのものです。そして、この儀式は、ムノン族の男性の勇気を顕彰するためのものでもあります。
ダクラク省ブオンドン村で4世代にわたって象を飼い慣らす家庭で出身のダム・ナン・ロンさんは次のように話しました。
(テープ)
「ムノン族にとって、象は物質的な価値のほか、精神的かつ信仰的な意味でも価値をも持っています。ムノン族の人々は、象を家族の一員として大切にしており、心をこめて象の面倒を見ています。象は仕事でも生活でもいつでもどこでも人間とともに歩んでいます。そして、雨季に入ると、象に“餌がこれからたくさんあるよ”ということを知らせる儀式を行うのに対し、乾季が始まったら、“餌が少なくなってきた。我慢してね”という儀式を行います。」
ムノン族にとって象は天からの授かりものだと考えられています。そのため、象の健康は特別に注目されます。象に関する儀式の中でも頻繁に行われているのが、象の健康を祈るものです。象を癒す行事、とも呼ばれています。
象の健康を祈る儀式を主催するのは有名な祈祷師でなければなりません。儀式に欠かせないお供え物は、地酒、米、水、豚肉などです。儀式の冒頭、祈祷師は、神様が象にいい健康を与えてくれるようにお祈りをします。その後、祈祷師は、豚肉の頭を象の背の上に置き、豚の血とお酒を象の頭に注ぎます。神様に象の健康を祈る儀式の後、バナナやトウモロコシ、サトウキビなど象の好きな食べ物を食べさせてやります。
象を村の一員に迎える儀式と、神様に象の健康を祈る儀式のほか、象が生まれたら名付けの儀式、象の結婚式、出産を祝う行事、葬儀など、象に関する祭りや行事が盛んです。
現在、象の数が少なくなったものの、象に関する儀式は依然としてよく行われています。これらの儀式は、観光客を引きつけ、この地の有名な観光商品の一つとなっています。