(VOVWORLD) - 現在、モン族の村では、毎日金属をハンマー等で叩く音で賑わっていますが、これからも、そういう風景は変わらないでしょう。
ベトナムで最も多い少数民族として知られているモン族の鍛冶業は長い歴史があります。かつて、ほとんどの世帯は、自らの農具と家具を作るため、小さい鍛冶工房を持っていました。現在、鍛冶工房を持っている家族は少ないですが、この職業は依然として、モン族の生活にとって重要な存在となっています。
村の鍛冶屋で作られた農具を売っている市場 |
現代生活において、機械で作った鉄製の農具や家具がたくさん売られていますが、モン族の職人による手作りのものは、丈夫さと巧みさで知られています。北部ソンラ省ヴァンホ県フアタット村に住むチャン・ア・チョさんはこの30年鍛冶業に従事しているベテラン職人で、彼の製品は周辺の人々だけでなく、遠くに住む人にも愛用されています。チャン・ア・チョさんは次のように話しています。
(テープ)
「かつて、家族が使用するために作っていました。毎年、2、3回作っていましたが、周りの人に頼まれるので、作ってあげました。使った人がいいと言うので、より多くの人に頼まれましたね。包丁を10本も頼んだ人もいますよ。」
チャン・ア・チョさんによりますと、いい包丁を作るためには、経験がとても重要です。まずは、いい鉄を選ぶのも経験が大事です。そして、鉄を精錬するコツもあります。例えば、精錬するとき、バナナの木の樹脂に浸すと、その鉄はより明るくて、丈夫になるということです。チャン・ア・チョさんの話です。
(テープ)
「精錬するとき、熱が足りないと、鉄が弱くなり、長い間の使用ができなくなります。一方で、あまり熱が過剰になっても、折れやすくなります。そのため、経験を活かして精錬するのはとても大切ですよ。」
チャン・ア・チョ職人 |
モン族の鍛冶のコツのもう一つは、石炭ではなく、木炭を使うことです。近年、扇風機や研磨機などの機械を使う鍛冶工房がありますが、鍛冶工程では、手作りがほとんどです。伝統的な鍛冶工程で作られたものはモン族の日常生活に欠かせない存在であるとともに、モン族の文化保存にも寄与しているとされています。少数民族の文化を研究しているグエン・ヴァン・トゥさんは次のように語りました。
(テープ)
「現在、モン族の鍛冶業は維持されています。この伝統的な職業で作られた農具や家具などの多くは、商品として売られることなく、家庭で使われています。これは、この伝統的な職業の保存に対するモン族の意識を示していると思います。」
現在、モン族の村では、毎日金属をハンマー等で叩く音で賑わっていますが、これからも、そういう風景は変わらないでしょう。