(VOVWORLD) - 「トゥカイ」(Tu Cai)と呼ばれるザオ族の成人式は男子向けのものです。
人口約100万人を擁する少数民族ザオ族は多くの地方に居住していますので、地域ごとのグループに分けられています。それぞれのグループは独特な風俗習慣を持っていますが、その中で、北西部山岳地帯ライチヤウ省タムドゥオン県に住むザオ族は成人式を誇りに思っています。
トゥカイ式 |
「トゥカイ」(Tu Cai)と呼ばれるザオ族の成人式は男子向けのものです。ザオ族の言葉では、「トゥ」は報告、「カイ」は名付けるという意味があり、「トゥカイ」とは、成人になったことを表すために男子に第2の名前を付けることを「神様と先祖に報告する儀式」といいます。この第2の名前は、先祖と返信するときに使われるので、この名前がなければ、死後、その魂は先祖のところへ行けないと考えられています。そのため、「トゥカイ」はライチヤウ省に住むザオ族の行事の中で最も重要な行事です。
男子が10歳になると、成人式を行うことができます。成人式は、農閑期である冬や春によく行われます。ザオ族の一人ホアン・ティ・ゴアンさんは次のように話しています。
(テープ)
「親たちが子供のトゥカイ式を行うときは、祈祷師の家へ豚や鶏、お酒、お米などを持参して頼みます。トゥカイ式で使われるお供え物として、豚一匹、鶏3匹、お酒2本、お米5キロのほか、線香と礼拝用の絵を用意しなければなりません。」
トゥカイ式 |
祈祷師がトゥカイ式の日を決めた後、その家族は式用の祭壇の設置や、お供え物の用意などをします。その中で、式に欠かせない装飾品は、祭祀・礼拝用の絵です。ザオ族の一人カン・ア・ダウさんは次のように話しました。
(テープ)
「ザオ族のトゥカイ式では、必ず祭祀・礼拝用の絵を使わなければなりません。絵は3種類ありますが、みんな祈祷師が用意してくれます。これらの絵は、式用の祭壇に貼られますが、これは、神様が儀式を見ているという意味です。絵のほか、色とりどりの紙もたくさん貼られます。」
祭祀・礼拝用の絵そのものは、トゥカイ式の祭壇における最も重要なものです。これらの絵は祈祷師が描くものなので、その祈祷師の能力が試されます。祈祷師の一人ファン・ア・トゥックさんは次のように話しました。
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「トゥカイ式の祭壇は、祭祀・礼拝用の絵と色とりどりの紙で飾られます。そして、この絵には文字が入っていますが、この文字は祈祷師の心や考えを示すものです。」
トゥカイ式 |
トゥカイ式の祭壇は昔から伝わるルールに従って設置しなければなりません。この祭壇は、その家族から約100メートルから離れたところに設置されます。これについて、先ほどのカン・ア・ダウさんは次のように話しました。
(テープ)
「祭壇の大きさは昔から決まっていますよ。また、その高さはトゥカイ式の対象者の身長によって異なります。そして、祭壇をしっかり設置するために使われる紐は、市場で売られているゴムの紐ではなく、森でとった紐でなければなりません。」
トゥカイ式はザオ族の最も重要な行事なので、数日ではなく、数か月も準備しなければなりません。式の冒頭、祈祷師は、ザオ族の歴史や、トゥカイ式のルーツ、式の対象者のことなどを語ります。その後、鈴を鳴らしながら、神様に式の対象者の健康と幸運などを祈ります。式の対象者は祈祷師の指導に基づいて行動します。式後、村人はその対象者の成人を祝うために、宴会を開きます。
近年、トゥカイ式は昔より簡単になっていますが、ライチヤウ省のザオ族にとって最も厳粛で重要な行事です。