ザイ(Giay)族とは北部山岳地帯のラオカイ省やハーザン省、ライチャウ省などに集っている少数民族であり、ザン(Dang)族、パウテイン(Phau Thin)族あるいはサ(Xa)族とも呼ばれています。人口は3万8千人を超え、タ イ-テイ語群に属します。ザイ族は主に稲作と畜産によって、生計を立てています。
ラオカイ省にあるザイ族の集落
オカイ省、サパ県、タバン村にあるザイ族の集落はおよそ140棟があり、ムオンホア盆地に位置し、ホアン・リエン・ソン山脈にもたれています。ザイ族の住居は棚田に沿って建てられ、美しい風景を造り上げています。彼らの住居は高床式の家があれば、平土間の場合もあります。真ん中の部屋は祖先の祭壇が置かれる重要な所であり、接客の場所とされています。タバン村の高齢者ホアン・ムックさんは「我が家のように80年から100年の歴史を持つ伝統的な家はあまりない」と明らかにし、次のように語りました。
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「この住居は私が生まれる前に、建てられたものです。父は1910年生まれで、1930年にこの家をつくりましたよ。私は末っ子なので、家を受け継ぎました。この村の各住居はほとんど改築され、古くても30~40年前からのものです。家の高さは地面から屋根の下まで1.8メートル、幅は9~10メートルです。部屋は3つあります。」
ザイ族の女性は畑仕事や主婦業をして、赤ザオ族やモン族の女性のように観光客への錦製品を売るなどしません。暇な時は家族が着る物をつくります。女性の服装は他の民族と比べると、シンプルで、刺繍の模様も少ないです。ザイ族のルック・ティ・タさんは次のように語りました。
(テープ)
「昔の衣装は今と同じです。祖母の話では、青年は青やピンク、お年寄りは濃青や黒いシャツを着ます。これらは人気がある色です。また、着る物は皆、自分でつくりますよ。昔は手縫いでしたが、今はミシンを使います。」
ラオカイ省に住むザイ族の女性の民族衣装はライチャウ省やハーザン省の女性と違って、帯がついた黒い絹のズボンといろいろな色のシャツがあります。また、シャツの右の方に襟から腋までスリットが入り、布や銀ボタンで留められ、襟が立っているスタンドカラーです。男性の衣装も簡単で、黒い綿ズボン、短い黒いシャツ、藍色の頭巾がセットになります。タバン村の住民ホアン・チンさんは「男性は通学や通勤の時、民族衣装を着用しませんが、民族文化を忘れたわけではない」と明らかにし、次のように語りました。
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「伝統衣装は薄いので、寒い時期には着用しません。しかし、旧正月テトには着ますよ。また、女性は一年中、伝統的民族衣装を着ています。社会が現代化されつつある中でも、伝統文化を保っています。」
ザイ族は伝統料理を誇りに思っています。テトには伝統的な料理が用意され、その中で、焼肉が独特です。チンさんの話です。
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「伝統料理づくりは工夫を求められます。焼肉は半日かかりますよ。鶏や豚など、お肉は、こま切りにしないで、そのまま焼きます。旧正月や祝日の時だけに作ります。普段はこの料理をつくりません。」
日常の料理としてはお餅のバインザイやうどんに似たバインフォーなどがあります。ザイ族の女性はこれらの料理を家庭のためだけでなく、販売用にも作っています。