ラグライ族の新米祭り


ベトナム中南部に住む少数民族ラグライ族は一年を通じて様々な祭りを催しますが、最大の祭りは収穫後に行なう新米祭りで、豊作になるような応援をしてくれた神と先祖への感謝を意味します。

ラグライ族は多神教を信仰する民族で、山の神、森の神、稲の神などを祀ります。神の中で、「ザン」(Giang)という神は最高の神様で、稲の魂の現われでもあり ます。そのため、新米祭りは、「ザン」、つまり、稲の魂を畑から家族に迎え、健康と豊かを祈る儀式につながります。

ラグライ族の新米祭り - ảnh 1
新米祭りの供え物として欠かせない米、トウモロコシ、キンマの葉、ビンロウ樹の実
(写真:langvietonline)

ラグライ族の村長によりますと、この儀式は、昔から伝わってきたもので、人間に食糧を与えた稲の魂に感謝の気持ちを表わすためのものです。ラグライ族の一人で、この民族の 文化を研究しているマウ・クォック・ティエンさんは次のように話しました。(テープ)

「ラグライ族の人々は農業生産をとても大切にしていて、新米祭りはラグライ族の生活に欠かせないものです。新米祭りは、神様によい天候と豊作を祈願 する為のものですが、村全体で催されるこの祭りは、稲作の作業を助けてくれた村人に感謝の気持ちを示すためのものでもあります。」

ラグライ族の人々は、4月ごろに、夏が来ることを告げる雷が鳴ると、天と地が合わさると考えます。それは新米祭りを催すちょうどいい時期です。女性 は、祭りで使われる供物を準備します。供物として欠かせないものは鶏、米、トウモロコシ、地酒、キンマの葉、及び、ビンロウ樹の実です。これらの供物はその一年 の労働の成果で、神と先祖に次の年の豊作を祈願する意味があります。

一方、男性は家の手入れをするほか、「ケイネウ」を作ります。ケイネウとは長さ5−6メートルの竹で、竹の先に縁起物をつけるというものです。ケイネウは稲の神の家で、豊作を祈るように綺麗に飾られなければなりません。稲の魂を祀る儀式はケイネウの周囲で行われます。

ラグライ族の新米祭り - ảnh 2
神に祈願している祈祷師(写真:langvietonline)


祈祷師が神に祈願したあと、村人は一つの茶碗で「カン」という地酒を飲みます。地酒を飲みほすと、家族は元気で幸せに暮らすと言われています。村人は皆、自酒を飲みながら、歌ったり、踊ったりしながら、徹夜して楽しみます。マン・ケ村長は次のよう話しました。(テープ)

「それぞれの家族は新米祭りをやった後、村全体で楽しみます。この祭りは、イネやトウモロコシなど何も植えても豊作になるという意味です。神と先祖に恩を報いると、神と先祖はその見返りとして豊作を与えます。」

新米祭りは親族たちが団欒するよいチャンスでもあります。これを機に、お酒を飲みながら、話し合うことによって、人と人との絆を深め、共同体の団結をしっかりとすることができるのです。

 

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