ラグライ族の高床式の家

ベトナム中南部に集中的に住んでいる少数民族ラグライ族は水源に近い高地で村を作ります。「パレイ」と呼ばれるラグライ族の村は数十軒の家からなり、村人はほとんど同一家系や係累が多いです。新しい村を作るときには、まず高床式の家を建てなければなりません。ラグライ族の高床式の家は、独特の特徴があり、この民族の文化を反映しています。

ラグライ族の習慣では、新築するとき立地を占う儀式から始まります。当主は、立地として選びたいところに7粒の米を置いて茶碗で覆い被せ、土の神にアドバイスを求めます。3日後、7粒の米がそのままであれば、その土地は立地として選んで良いということです。逆に、1粒でもなくなっていたら、他の立地を探さなければなりません。

ラグライ族の高床式の家 - ảnh 1
ラグライ族の高床式の家(写真:langvietonline)

ラグライ族の高床式の家は竹、木、葉っぱなど森から集めた材料を使います。他人の手を借りて建てるのではなく、家族全員が力を合わせて建てるのが普通です。ラグライ族の文化を長年研究しているタイン・ファン博士は次のように語っています。
(テープ)

「中部高原地帯テイグェン地方に住む少数民族の高床式の家は大きくて勇猛さを示す一方で、中南部に住むラグライ族の高床式の家は小柄で、麓にあって壮大な山々に囲まれています。そのためか、ラグライ族の高床式の家は自然の一部のような原始的な美しさを持っていて、ラグライ族は伝統的な価値を守る意識が強いと言われています。」

ラグライ族の高床式の家は多くの柱の土台の上に建てられ、地面から床までの高さは1メートル弱です。屋根は別に作られ、完成した後、家のフレームの上に置かれます。屋根は伏せられた船の形をしていることから、民族研究者によりますと、それは東南アジアの島々に住む民族の文化との交流を示すものであるとしています。

ラグライ族の高床式の家の特徴は、1本の大きな大黒柱が地面から屋根まで家の真ん中に貫くことです。ラグライ族の人々の考えでは、この柱は先祖が子孫を訪れるための階段で、精神の拠りどころとして重要な存在です。家族のすべての儀式はこの柱の周りで行われます。

ラグライ族の高床式の家 - ảnh 2
ラグライ族の踊り(写真:langvietonline)

もう一つの特徴は家の中にいつも火をつける囲炉りがあることです。囲炉りの周りは家族団らんの場所で、祖父母が子孫に叙事詩や昔話を物語る習慣があります。

叙事詩を朗読するはどこでも良いですが、高床式の家の囲炉りの周りが一番いい雰囲気だとよく言われています。囲炉りの炎がともる幽玄な雰囲気の中で、叙事詩の精神をより体感できるような気がします。

ラグライ族は様々な祭りがありますが、そのほとんどは高床式の家の周りを祭りの場所としています。そのため、ラグライ族は高床式の家は自分の伝統を守ることに重要な役割を果たしていると考えています。ラグライ族の一人チャマレ・ナンさんは次のように話しています。

(テープ)

「ラグライ族は伝統的な高床式の家を守る事が出来ることを誇りに思っています。特に、高床式の家の周りでたくさんの祭事が催され、これらの祭りを通じて、私たち若者は我が民族の文化をさらに理解できるようになります。」

大自然の中で立っているシンプルながらも、しっかりと建てられたラグライ族の高床式の家はこの民族の人々の現れであると言われています。それは、自然と密接につながって暮している地味ながらも堅実な人たちです。そのいう人たちは今もなお、伝統的な文化などを守っています。

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