(VOVWORLD) - ザオ族の一族正月はザオ族の文化・信仰・風俗習慣・考えなどの現われなので、若者に民族の伝統を教える効果的な教材となることでしょう。
ベトナム西北部山岳地帯に住む少数民族ザオ族の最も大きな行事は「一族正月」です。ザオ族の言葉で「プンニャン(Pung Nhnang)」と呼ばれる「一族正月」は、その一族の幸福や幸運を祈るものであり、一族の先祖に対する感謝祭でもあります。しかし、全ての一族がその正月を行うわけではありません。例えば、ソンラ省モクチヤウ県では、「一族正月」を行うのはタン(Tang)、バン(Ban)、リ(Ly)といった3つの大きな一族だけです。
「一族正月」の準備 |
モクチヤウ県スオイリン村に住むリ・チョン・シンさんの一族は3年ごとに、「一族正月」を行う習慣があります。シンさんによりますと、この正月は、旧暦の12月29日から1月2日までその一族の頭の家で行われます。この正月を準備するため、旧暦の12月の初めからは一族のメンバーらが交代で頭の家へ行って掃除をしたり、お供え物を用意したりするとしています。シンさんは次のように話しました。
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「皆は「一族正月」を準備するため、集まって役割分担をします。女性たちは美味しいもち米を選んでお餅を作ります。一方、男性たちは 飾り物として竹やサトウキビを切って飾ります。また、お供え物を用意しますが、その中で欠かせないものは豚肉です。そして、能力が高い祈祷師3、4人を探さなければなりません。」
旧暦の12月29日に、一族の頭と祈祷師は、家の中央の部屋に礼拝用の絵を3枚かけます。これらの絵は「一族正月」全体にわたって掛けられます。その後、男性たちは豚を解体し、お供え物にします。また、女性たちはそれぞれ形が違う12本の木の形をしたお餅を作ります。これらのお餅は1年の12か月を象徴し、繁殖や豊作、豊かさへの希望を示すものです。
「一族正月」を始める儀式を担当する人はその一族の頭である長男です。この儀式は神様と先祖を一族正月に招待し、その一年の幸福と幸運をお願いするためです。儀式後、一族のメンバーらは宴会を楽しみながら、踊りを夢中になって踊ります。モクチヤウ県フィエンルオン村に住むダン・クィエト・ティエンさんは次のように話しました。
(テープ)
「いつも一族正月では「ソエ」という踊りを踊らなければなりません。ザオ族の踊り「ソエ」は新年に村人の豊作と健康を祈るという意味があるからです。」
儀式を準備している祈祷師 |
大晦日の夜は、ザオ族の言葉で「パイニャン(Pai Nhnang)」と呼ばれる感謝祭です。この感謝祭には一族だけでなく、村とその周辺の人も参加できます。これは、今日の生活を基盤を作った前の世代の恩に報い、「水を飲むとき、その源を思う」という良き伝統を伝えるためです。
そして、新年になる瞬間の後は一族正月の主要な儀式の始まりです。先ずは、ザオ族の民族衣装をまとった4人の男性が祈祷師の命令に従って踊り「ソエ」を踊ります。この儀式は豊作と健康を祈る意味です。その後は、刀や棒を家の中にしまう儀式です。これは、ケンカのない平穏な生活を祈るためです。最後は、お年寄りが若者に、礼拝用の歌を教える儀式です。モクチヤウ県フィエンルオン村に住むリ・ルンさんは次のように話しました。
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「一族正月は旧暦の12月29日か30日から1月2日か4日まで行われます。この正月の後、その一族の頭は村人全員にお供え物を配る習慣があります。これは、その一族のお正月が終わったことを告げるとともに、村人全員が幸運などに恵まれることを祈るという意味があります。」
そして、一族正月が終わった翌日、つまり、3日か5日の早朝、その一族の健康な若者6人は刀や旗を持ちながら、村の全ての小路を走ります。これは悪魔を追い払うためのもので、新年が良い1年になることへの希望の現われです。モクチヤウ県スオイケム村に住む祈祷師リ・ヴァン・チンさんは次のように話しました。
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「ザオ族の一族正月はザオ族の独特な文化と信仰を示すものです。そのため、現在、生活は大きく変わっていますが、一族正月は依然として大切にされています。」
ザオ族の一族正月はザオ族の文化・信仰・風俗習慣・考えなどの現われなので、若者に民族の伝統を教える効果的な教材となることでしょう。