ザオ族の女性たち
中国と隣接するベトナム東北部クァンニン省ビンリェウ県は3万人の人口を擁していますが、そのうち、25%は少数民族ザオ族です。ここのザオ族は「忌み嫌いの日」いわゆる「タブーの日」という独特のイベントで有名で、観光客を魅了しています。
ビンリェウ県に住むザオ族は、旧暦の4月4日に家を建てると、倒壊するとか、田畑で仕事をすると、凶作になるなど、何をやってもうまくいかないというふうに信じており、「タブーの日」と呼びます。そのため、この日は全ての作業を休み、村人全員が遊びに行くのです。
ドンヴァン地区はビンリェウ県の中心地であるビンリェウ町から10キロ離れたところにあり、「4月4日市場」別名で「タブーの日市場」として有名です。ザオ族が人口の9割を占めているドンヴァン地区はこの日に祭りの雰囲気にあふれ、その中でもこの地区の一番大きい市場「ドンヴァン市場」は地元の人々はもちろん、周辺の人々、それから、観光客で賑わいます。ドンヴァン地区ケティエン村に住むザオ族の一人タン・サム・ムイさんは次のように話しています。(テープ)
「今日は旧暦の4月4日で、タブーの日です。この日は何もせず、遊んでばかり。この習慣は昔から伝わっていますが、親も忌み嫌っていました。私も忌み嫌っています。遊びに行きたい人は誰かと一緒に行きますが、行きたくない人は家で刺繍などをして楽しみます。」
旧暦の4月4日に、ドンヴァン市場は早朝から人で賑わっています。男性たちは刃物の店や靴の店に集まって好きなものを買います。女性たちは布の店で自分に合う布を選び、自分が作った刺繍や服を友人に見せて自慢します。又、みんな、おしゃべりをしたり、笑ったりするなど、人間同士の愛や情けを楽しみます。
ザオ族の人々にとって、「タブーの日」は、老若男女を問わず、お酒を飲みながら、歌ったり、おしゃべりをしたりして人間の愛情を深める日でもあるのです。その日は、全ての悲しみや心配などを忘れて一日中楽しく過ごします。ケモック村に住むチュー・ティ・メンさんは次のように話しました。(テープ)
「今日は市場に行って友達と一緒にビールを飲みました。買い物をした品物をどこに置いたのか分からなくなるほど、飲みすぎて酔っ払った人もいますよ。」
若者にとって「タブーの日」はデートの日でもあります。市場のあっちこっちで、パズン(Pa Dung)やサンコ(San Co)などザオ族独特の歌垣をしているカップルがいます。そのため、ドンヴァン市場はベトナム北部の有名な避暑地サパのラブマーケットに似ていると言われていますが、ザオ族の人々は、男女の恋愛を含む、友人や親族の愛情を深める機会だと考えています。ドンヴァン市場から30キロ離れたところに住むチャン・ギ・シンさんとご両親は、結婚してドンヴァン町で住んでいる妹と会うために、朝5時に家を出ました。シンさんの話です。(テープ)
「妹と会って話し合うために、ここに来ました。いくら遠くても行かなければなりません。一緒に楽しく話し合ったり、遊んだりしました。楽しすぎてなかなか帰られない人もいますよ。」
ここ数年、ドンヴァン市場の「タブーの日」はさらに賑わっています。ドンヴァン町のザオ族のほか、周辺のザオ族、それから、キン、サンチ、テイなどの民族の人々も大勢この市場に行きます。ビンリェウ県文化情報課のチン・ティ・ギ課長は次のように語りました。(テープ)
「伝統的な祭りを復元する方針で、ザオ族の祭り「タブーの日」を2007年から大きく広めることにしました。又、少数民族テイ族の独特の民謡につながる「ルックナ」(Luc Na)祭りや、サンチ族の民謡「ソーンコ」(Soong Co)の祭りも復元しています。ザオ族の場合は、パズンとサンコという2つの独特の民謡を守る計画があります。今年、ザオ族の祭り「タブーの日」を含め、各少数民族の伝統的な祭りを保存・開発する計画を完成する予定です。」
このように語ったギさんはまた、伝統的な祭りの保存・開発によって観光が発展すれば、地元の経済が促進するだろうとの期待を示しました。