ベトナム東北部にはサンチ族の少数民族が居住しています。2009年の国勢調査によりますと、その人口は約17万人で、半分以上はトゥエンクアンとタイグエンの両省に住んでいます。サンチ族は定住型農業に従事する民族で、社会構造がしっかりとしています。
サンチ族の村はほとんど山岳地帯にあり、規模は小さいです。この民族の家は地方によって2種類があります。トゥエンクアン省やランソン省は高床式ですが、クアンニン省は土で固めた壁を持つ家です。しかし、現代生活の影響で、レンガとコンクリートで建てられた家も増えつつあります。
サンチ族の女性
サンチ族は稲作を本業としており、水稲の歴史が長い民族の一つです。また、畜産と栽培もやっています。それらはこの民族の主たる生計です。その他、木工や藤製の家具なども作っていますが、それは共同体で自給自足のためのものであり、まだ商品化されていません。クアンニン省に住んでいるサンチ族の一人ダン・ティ・チンさんの話です。
(テープ)
「サンチ族の人々は豚を飼ったり、シナモンやタピオカ、トウモロコシなどを栽培したりしています。サンチ族の人々は商売をせず、畜産と栽培の自給自足生活ですん。使い切れなかったものは売りますが、わずかです。」
サンチ族の民族衣装は、モン族やザオ族のと違って、あまりはでではなく、地味ですが、独特さを誇りにしています。女性は刺繍もなく黒いシャツとスカートを身に着ていますが、ベルトは赤や緑のシルクのベルトで目立ちます。また、黒いずきんで髪を包むのが一般的です。男性は藍色の衣服を着ますが、山登りなどしやすいように、ズボンの裾幅は広いです。先ほどのチンさんは次のように話しました。
(テープ)
「サンチ族の女性はスカートをはいて髪を布で包みます。かつて、民族衣装を毎日着ていましたが、現在は、よく洋服を着ています。民族衣装は結婚式や祭りへ行く時に使われます。」
サンチ族の結婚式
サンチ族は歌を歌うのが好きということで有名です。この民族の民謡は豊かで、歌垣の形でよく歌われます。
(民謡の歌のテープ)
クアンニン省に住むサンチ族の一人ラム・ミンさんは、徹夜で民謡を唄うのは普通のことだと話し、次のように語りました。
(テープ)
「かつてはよく民謡を歌いました。私の両親は民謡が上手でした。夜になると、村人が集まって翌朝まで歌ったことがあります。ですから、誰もが歌えます。特に、しばらく会わなかった知り合いに会ったら、徹夜して歌うのが一般的です。翌日は寝るけどね。」
ミンさんによりますと、民謡はサンチ族の人々の精神的安らぎに欠かせないものであり、人間同士のつながりを強くするものです。