タイ族は一ヶ所だけではなく、あちこちに住んでいますが、民族衣装は居住地の風俗習慣や審美感などによって異なります。今日のこの時間は北部山岳地帯のディエンビエン省、ムオンライ県に住む白タイ族の民族衣装をご紹介します。
一度、西北部に足を運んだ人なら、誰もが民族衣装のセットになるコムというシャツと黒いスカートとピエウというスカーフを身に着けた若い女性たちの美しさに魅了されることでしょう。白タイ族の女性は小さいときから祖母や母親から紐の縛り方を教わるのです。これは細いウエストを目指すためです。これにより、白タイの女性たちの身体は均整がとれて、美しくなります。ベトナム民族学博物館の研究者ルオン・バン・ティエットさんは次のように語りました。
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「タイ族の民族衣装は女性の美しさを強調しています。誰もがタイ族の女性は美しいと言っています。その美しさは民族衣装による所があります。タイ族の女性は背が高く、色白で、長い髪が特徴的です。とても優雅にさせますよ。」
黒タイ族のコムというシャツはエリを立てますが、白タイ族はハート型のエリのブラウスを着用します。また、白タイ族のシャツは2種類あります。年配の女性は半袖のシャツを、若い女性は短いシャツを着ます。ディエンビエン省、ムオンライ県、ホック集落の住民ロー・ティ・クエさんは次のように話してくれました。
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「このシャツは体のラインにびったり合わさるので、女性の美しい体をつくります。また、白いシャツに黒いラインがついたエリが際立って、女性の首の美しさを強調します。」
シャツについている蝶々型のボタンは特別な意味があります。二列ボタンの中に一列はオスの蝶、もう一列はメスの蝶の形があります。また、結婚していない女性の場合、ボタンの数は奇数、既婚の女性は偶数となっています。同じくムオンライ県、バンダク集落のトン・ティ・ブオンさんは次のように説明しました。
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「ボタンはシャツを美しくみせるためにつけられるのです。また、信仰面での意味もあります。女性は結婚する前、両親から金や銀でできたボタンのついたシャツをもらいます。年を取って死んだ時、このシャツを着用して、埋葬されるのです。」
一方、先ほどのホック集落に住むロ・ティ・クエさんは「生活は大きく変化しましたが、白タイ族の女性は民族衣装を愛用している」と明らかにし、次のように語っています。
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「今日の衣装は大きく改良されてきました。昔のタイ族は自分で織って、染めた藍色のスカートを着ましたが、今はベルベットなどのスカートを来ています。タイ族の長い服は2種類あります。一つは両脇に模様が付いていて、お年寄りが着用するものですが、もう一つは体にピッタリとしたシャツであり、前身頃に模様がついています。これは若い女性がよく着ています。」
また、伝統衣装の中にルオンという長い服があります。これは結婚式や葬式などに着用する服です。ルオンという服は足のふくらはぎまであって、黒い色です。また、年配者用のルオンという服は若者と同様にウエストにピッタリとしているだけではなく、身頃が広いです。結婚式には、お嫁はこの服を着なければなりません。チルオン集落のディエウ・ティ・チュエンさんは次のように語りました。
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「結婚式には、お嫁さんはコムというシャツの上に黒いルオンという長い服を着ることになっています。これはお嫁さんがシンプルで、派手な人ではないことを示します。」
白タイ族の民族衣装はシンプルですが、タイ族の女性たちの美しさと優雅さを強調し、山岳地帯に住むタイ族の女性たちの独自さを与えています。