黒タイ族の暮らしと暦

(VOVWORLD) - ベトナム北西部に居住している少数民族黒タイ族は独特な暦を持っています。この暦は、黒タイ族の重要な伝統文化の一つで、現在も大切に使用されています。
黒タイ族の暮らしと暦 - ảnh 1黒タイ族の暦 

黒タイ族の暦は旧暦のように、月の満ち欠けの周期を基にした暦です。その周期を1か月とし、12か月は1年になりますが、1月は旧暦の7月にあたります。そのため、黒タイ族の暦によりますと、1年の季節の順番は、春・夏・秋・冬ではなく、秋・冬・春・夏になります。また、黒タイ族の暦は干支も使用されています。十干と十二支を組み合わせた60を周期とする数詞ですが、十二支は、象、水牛、虎、蜂、蛇、伝説の水棲怪獣、馬、ヤギ、猿、鶏、犬、豚です。

黒タイ族の暦の計算はかなり複雑ですから、どこの村にも、暦の手帳を保管して暦を計算する担当者がいます。その人は「ポム(Po mu)」と呼ばれ、暦の手帳は「パップム(Pap mu)」と呼ばれます。農業を本業とする黒タイ族の人々は、自然の現象に基づいて栽培の季節を始めます。結婚式や新築の建前儀式など重要な行事を行う佳い日を選ぶとき、必ず暦を計算する担当者「ポム」に頼みます。ソンラ市チエンレ地区に住むタイ族の一人ロ・ヴァン・チュンさんは次のように話しました。

(テープ)

「かつて、黒タイ族の人々は、森の実が実れば、栽培を始めるなど自然の現象に基づいて農作業をする習慣がありました。現在はその習慣は失くなったのですが、佳い日を選ぶときは、暦の手帳を見たり、ポムに聞いたりしています。」

黒タイ族の暦の計算方法は複雑ですから、この暦をコンピューターに入れたり、本に印刷したりするなどの取り組みがありました。その中で、「黒タイ族の暦の研究・編集・情報技術化」をテーマとした研究は成功したと評されています。その研究者であるカ・ヴァン・チュンさんは次のように話しました。

(テープ)

「黒タイ族の暦をコンピューターに入れました。コンピューターに保存されるものは1800年から2199年までの400年間の暦です。また、ベトナム民間文学協会はこの暦を印刷しました。その印刷物は、7巻を含みます。多くの人々にこの暦を知ってもらいたいと思います。」

現在、黒タイ族の日常生活においては、新暦が使われていますが、黒タイ族ならではの暦は依然として、その位置を確保しています。

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