黒タイ族の女性の特徴を上げるとすればピエウ(Pieu)というスカーフである
タイ族には黒タイ族と白タイ族がありますが、民族衣装は基本的に似ています。しかし、黒タイ族の女性の特徴を上げるとすればピエウ(Pieu)というスカーフです。それぞれのスカーフは異なった模様や色ありを持ち、その女性の考えや性格を示しています。
現在、黒タイ族の伝統的衣装は日常生産活動に見合うために改新されてきました。しかし、黒タイ族の女性にとって欠くことのできないものは頭に巻く「ピエウ」というスカーフです。これは黒タイ族の女性の象徴であり、美しさでもあるので、子どもの頃から少女は祖母や母親からスカーフの織り方を教えてもらいます。
民族学博物館のルオン・バン・テェット研究者は次のように明らかにしました。
(テープ)
「ピエウというスカーフはタイ族の人々の手先の器用さを示す織物の一つです。このスカーフはタイ族の女性の手先の器用さと審美的を表わしています。スカーフの鹿、蝶々、鳥、象、トラ、月、樹木などの模様は生活に近い動物や植物ばかりです。」
黒タイ族の女性は誰もがピエウというスカーフを織ることができます。もし、そのスカーフをつくれない女性だと怠け者として見なされます。それに、一般の男性なら、そんな女性と結婚したくないです。ピエウというスカーフを頭に巻くと、スカーフの色とりどりの巧みな模様は印象的であるだけでなく、その女性の顔の美しさを際立たせます。さらに、このスカーフは女性の才能と性格を評価する基準の一つでもあります。
民族学博物館の幹部であるミン・グェットさんは次のように語りました。
(テープ)
「ムオン族の女性のスカートはその人の勤勉さと才能をみる基準として見なされていますが、黒タイ族の女性にとって、その基準はピエウというスカーフなのです。男性は、スカーフの織り方、模様の入れ方などをみて相手を選びます。」
黒タイ族の女性は子供のときから、成長するまで、母親からスカーフの刺繍や縫い方のしつけを受けます。15歳になると、女性たちは結婚のためにスカーフを自分で作れるようになります。というのは、ピエウというスカーフは夫側の家族への欠くことのできない贈物だからです。
先ほどの民族学博物館のテェット研究者は次のように明らかにしました。
(テープ)
「黒タイ族の女性が結婚した直後に夫の母親にお手製のスカーフを差し上げるのは一般的なことです。その他、その女性は自分のためにもスカーフを作ります。ピエウというスカーフは男性と女性を結ぶ絆とも言われています。」
ピエウというスカーフは頭に巻くために使われるだけでなく、日常生活や祭、遊びの時にも女性の飾り物となっています。特に、タイ族の伝統的踊り「ソエ」(Xoe踊り)に用いられています。タイ族の祭で、男性達は女性に愛を述べるために、その女性のスカーフを取ってしまいます。それだではなく、このスカーフの用途はお葬式にも用いられています。死者の持参物、また、お葬式にその死者の親戚はスカーフを頭に巻かなければなりません。黒タイ族の人々にとってピエウというスカーフは死者の冥福を祈るという役割を果すのです。
テェット研究者は次のように語りました。
(テープ)
「スカーフを頭に巻くということは、神様が頭にやどり、存在して、守ってくれるような感じになります。ピエウというスカーフは黒タイ族の人々の物心両面での生活に存在しています。ですから、黒タイ族の女性は頭を叩くことが怖いのです。」
ピエウというスカーフは黒タイ族にとっての独特な文化的宝物なのでしょう。