ベトナム人の精神生活にみる龍
龍はベトナム人にとって、想像上の超自然的な動物ですが、龍の姿は社会生活の中で良くみられます。伝統的な観念によりますと、龍は十二支の動物の中でも、幸運と精通を象徴しています。龍は、名誉、権力の象徴です。ですから、ベトナム人は、辰年は縁起が良い年と信じられています。
昔から、龍はベトナムの文化、信仰の中で特別な位置を占めています。昔の人々の観念では、龍は、王様の絶対的権威を象徴しました。ですから、王様の宮殿には、「ロン」という龍の名前にちなんだ品々がありました。たとえば「ロン・サン」(龍床)は王のベッド、「ロン・バオ」は王の衣服、「ロン・サ」(龍車)は王の乗り物という意味です。各時代においても、龍は、民族の繁栄と力のシンボルとなってきました。特に、およそ千年前の李朝時代にはよく龍が出現していました。ベトナムのリー・タイトー王が1010年に今のハノイへ遷都した際に、黄金の龍が現れたことから、都をタンロンと名付けたことが由来です。タンロンというのは龍が昇るつまり昇竜と言う意味です。その後の封建時代でも、歴史遺跡や美術建築工事などには龍の姿がよく現れています。
2010年のタンロンハノイ遷都千年の年にはこれを記念して、ベトナムの映画製作者は、「ロン・ベト」(ベトナムの龍)という3D映画を製作しました。3分間のこの映画はベトナム人の人々に強い印象を与えてきました。ベトナムの文化研究者チャン・バン・ケ教授は次のように評価しています。
「私は龍にちなんだ映画を見たことがあります。ベトナムの龍なので、とても感激していました。龍が空を飛んだ後、ベトナムの地に降り、S字型のベトナムの地形にしました。実際それは龍の形に似ています。龍の頭は北部に、尾は最南端のカー・マウにあります。そして、南部には、9匹の龍を象徴するメコン川デルタ流域があります。これらは、龍とベトナム民族との密接な関係が分かりました。ベトナム民族の起源についてベトナム人は誰でも神様の血縁関係にあるなど、ほこりにしているようです。自慢の気持ちになる伝説はベトナム人にとって誰でも知っている「竜子仙孫(りゅうこやまとまご)」を思い出します。ですから、龍はベトナム国土にとって特別なものです」
ケ教授はこのように語りました。
伝統的な祭りでも、龍の姿はよく見かけます。例えば、龍の踊りや龍を模った船のボートレースなどです。さらに、龍は、美術、彫刻、絵画、お寺、宮殿などにもよく使用されています。
以前、龍は象徴的な動物でしたが、現在では、龍の踊りで生き生きと再現されています。
龍は十二支の動物のうち幸運と精通を象徴していますので、多くのベトナム人若い夫婦は今年中に子供を作りたいのです。我々は辰年を迎えながら、国の繁栄と明るい未来を期待しましょう。