ベトナムは現在、世界の米輸出大国に入っていますが、輸出米の価格は高いとはいえません。その主な理由としてベトナム米の質が不安定で、商標がつけられていないことが挙げられます。先頃、商工省は会議を行い、米の輸出の促進を目指す諸措置について協議をしました。
2015年、ベトナムの米の輸出量はおよそ660万トンに達し、輸出額は28億ドルを超えました。2014年と比べ、輸出量は4%増となりましたが、輸出額は4・5%減少しました。今年に入り、「エルニーニョ現象」により、塩害や干ばつが深刻化していることに伴い、稲栽培面積が減ってきたことで米の輸出が順調であるかどうかは予断を許しません。一方、灌漑用の水が不足していることは疫病の波及に寄与してきました。これらの要素はベトナムの米の質とタイ、インド、パキスタンなどとの競争能力を低下させています。さらに、ベトナム米の輸出はいくつかの市場だけに依存していることからリスクが隠されているとみられます。こうした事情を踏まえ、ベトナムの企業は欧州、アメリカ、日本、韓国などへ輸出市場を拡大するため、知恵を絞っています。現在、ベトナムの輸出用の高品質の米は27%にしか占めていないと同時に商標づけができていません。今後、ベトナムの輸出米の価値を向上させるためには、種籾や米質の向上、商標づくり、貿易振興などを進めなければならないとしています。商工省のチャン・トゥアン・アイン次官は次のように語りました。
(テープ)
「貿易振興を行なうに際し、国家機関や食糧協会は企業に対し、市場の開拓方針や発展モデルを手解きする必要があります。これはまた、商工省に対し、米をはじめ、農産物の取引に際し、中国や欧州など、市場別に見合うような貿易振興の刷新を求めています。」
現時点で、ベトナム米の輸出企業は100万トン以上の米輸出契約を締結してきました。これは今年の米輸出活動の前向きな兆しです。今後、アメリカや韓国、欧州諸国への米の輸出の拡大を目指し、ベトナム企業と農民は種籾や米の質的向上、大規模な田んぼと商標づくり、貿易振興に力を入れています。南部食糧協会の会長を務める南部食糧会社のフイン・テ・ナン社長は次のように語りました。
(テープ)
「バリューチェーンづくりを米の価値の向上と連携させ進めた上で、米の商標づくりへ向けて第一四半期に具体的な計画を立案しました。これは米生産輸出企業の発展を今後の米の輸出の促進を左右する要素だと思います。」
他方、米輸出企業は外国駐在ベトナムの貿易参事官に対し、市場に関する情報をどんどん提供すること、商工省に対し、先進的な加工技術の導入を支援し、やメコンデルタでの国際基準を満たす実験室の建設に投資するよう希望を表明しています。ゲンチャコ株式会社のグエン・チュン・キエン会長は次のような意見を提出しました。
(テープ)
「食糧協会と貿易参事官に対し質の管理や食品安全衛生、植物検疫、米の輸出に関するTPPの規定、関税政策などに関する情報を提供し続けるよう要請します。また、貿易摩擦や技術障壁に関しても企業を支援するよう望んでいます。」
米の価値を向上させ、厳しい市場への米の輸出を促進するためには企業、農民、関係各省庁はベトナム米の商標づくりを加速させる必要があります。これは米の持続可能な輸出に向けての根本的な解決策であるとみられます。