今から50年前、ベトナムの著名な作家ナムカウさんが執筆した「その日のブダイ村」という短編小説が発売され、たちまちベストセラーとなりました。その当時の作家の目を通してみたブダイ村は非常に貧しい土地でしたが現在この村は、伝統的な煮魚料理の産地として国内でよく知られています。
旧正月が近づく中、ブダイ村を訪れると、特産品の魚煮つけを買いに行く人の流れを目にすることができます。北部ハーナム省リニャン県にあるブダイ村は昔、ベトナム北部の最も貧しい土地柄でした。自然に恵まれないこの地方では稲作も畜産もできないかったからです。ですから豚肉や鶏肉などは金のように貴いものと言われていました。
この村の人々は旧正月テトを迎えるたびに、故郷の伝統的な料理としての煮魚を作りました。この村の老人一人であるチャンバロンさんの話によりますと、毎年の旧暦12月21日から25日まで、村の人々は池の魚をとりに行き、魚を調理します。フランス植民地時代ロンさんの父親はフランスレストランの料理長でした。
フランス軍との戦争が終わった後の1954年から、父親は中部タインホァ省からカマド売りを商売にしていました。旧正月テトになると、父親は故郷に帰り、土でできたカマドを使って、魚の煮付けを作りました。この料理を作るため、父親は特別な淡水魚を選んで、ショウガ、砂糖煮、豚腹肉、レモンを絞ってカマドに入れて、煮付けます。ブダイ村に住む住民一人であるチャンティガさんは次のように語っています。
(テープ)
「この料理を美味しく作るためには中部タインホァ省の土で作ったカマドを使う必要がありあす。その他に味付けも重要なことです」
一方、ロンさんは次のように述べています
(テープ)
「魚煮付けは、マキを使用する必要があります。その上、14ないし16時ほど魚を
柔らかく煮なければなりません」
ブダイ村の人々が作った煮魚は独自の味があり、魚の身もとても美味しいのです。ですから、その魚の煮付けは国内各地でよく売れており、外国にも輸出されています。ブダイ村の煮魚料理をよく味わう外国在留ベトナム人の一人であるトァンさんは次のように語りました
(テープ)
「友人の紹介で、煮魚料理を予約するためこの村に来ました。私はロシアに住んでいる親戚と友人にプレゼントするためこの料理を送ります。」
今の時点でブダイ村に行き、カマド入りの煮魚を千個予約したお客さんもいます。今の時期にブダイ村を訪れるならば、ベトナムの農村の春の自然な風景を眺めるだけでなく、地方の伝統的な魚の煮付けの魅力的な味を味わうことができるでしょう。