この数年間、ベトナム農業部門は、成長を維持するために、再構築活動を進めています。気候変動への対応や、国際社会への参入に伴う競争の激化への対応の傍ら、農家・企業間の連携の強化や、農産物の質的向上も重視されています。
世界市場の変動や、気候変動などにより、近年、ベトナムの農・林・水産部門の成長は減速傾向にあります。2014年はその成長率が4%に達しましたが、2015年は2・62%、そして、2016年は1・36%にとどまりました。
こうした中、農業の持続可能な発展へ向けて、政府は、「商品の質的向上と持続可能な発展へ向けての経済再構築」案を承認しました、その中で、「世界市場でのベトナム農産物の競争力の向上や、輸出の促進、農産物の価値向上のために農業構造転換を勧める」と強調しています。
国会事務局所属経済局のレー・バン・ビン副局長は、「現状から見れば、農業再構築は重要な意義を持つ」とし、次のように語りました。
(テープ)
「農業部門が数前のように高い成長率を維持するのは簡単ではありません。発展の余地が狭くなっているからです。このような中、成長維持のために、科学技術の研究・導入、種子の開発、耕作方法の近代化、サプライチェーンづくり、農産物の質的向上などに投資すれば、その成長を維持することができるようになると思います。」
また、エコノミストらは、「農地や、農業への融資などに関する問題を解決すると同時に、農業部門は加工業を発展させていく必要がある」と指摘しています。
一方、農業農村開発省所属畜産局のグエン・スアン・ズオン副局長は、「最近、発効されたFTA=自由貿易協定により、ベトナム農産物は外国製品から高い競争圧力を受けている。これは農産物の価値と農業部門発展にマイナス影響を与えている」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「生産規模の拡大ではなく、農産物の価値向上と成長の促進のために加工業への投資を強化する必要があります。つまり、加工業の発展と加工品の販売・輸出を目指すことです。」
さらに、農業農村開発戦略・政策研究所のグエン・ド・アイン・トゥアン所長は、「農業発展事業に突破口を切り開くために、農業生産に関する思考を刷新し、農業構造の転換を進めて行く必要がある」と提案しています。
また、「ハイテクアグリカルチャーの導入や、『それぞれの村がそれぞれの農産物を専門的に生産する』モデルの拡大、企業と農民間の職業訓練協力の強化なども効果的な措置である」とし、次のように語りました。
(テープ)
「農地の使用目的の転換や、農業への投資誘致政策など、農業に関する政策を点検しなければなりません。また、農業への融資、科学技術の導入、PPP官民連携モデルの導入も重要だと思います。」
これまで、「商品の質的向上と持続可能な発展へ向けての経済再構築」案は積極的な結果を収めており、農産物の価値向上や、スマート農業の導入、ハイテクの応用が社会安全保障や、農民の生活改善に寄与するだけではなく、気候変動への対応にも役立つことを立証しています。このような案が今後も進められ、農産物の輸出や、国の国際社会への参入事業に貢献することが期待されています。