5月はじめからこれまで、中国がベトナムの排他的経済水域と大陸棚に石油リグを不法に設置し、挑発行為を繰り返し、緊張情勢を引き起こしていることはベトナムの多くの経済部門にマイナス影響を及ぼしています。中でも、観光部門は最も大きな打撃を受けるところとなっています。こうした中、各旅行会社は様々な措置を取っており、安全でやさしい目的地というイメージ作りを図っています。
1月から5月にベトナムを訪れる外国人観光客の数は26%増加
観光総局の統計によりますと、今年1月から5月にベトナムを訪れる外国人観光客の数は前年同期と比べ26%増加しましたが、5月は4月より10%減少しました。その主な原因は、中国人観光客の多くがツアーをキャンセルしたということです。こうした中、各旅行会社はロシアや、日本、韓国、西欧諸国、インドなどの市場にシフトする方針を打ち出しました。
中国を主な対象にしている旅行会社ハノイツーリスト社のリュー・ドゥク・ケー(Luu Duc Ke)社長は次のように明らかにしています。
(テープ)
「海上での緊張情勢が発生した直後、当社は計画を変更せざるを得ませんでした。中国市場の変わりに、日本や、マレーシア、台湾など新しい市場の開発を促進しています。その他、ベトナム人観光客を対象に、日本へのツアー価格を3分の1、韓国へのツアーを2000万ドン以下に割引しました」
一方、旅行会社レッドツアー社のグエン・コン・ホアン(Nguyen Cong Hoan)副社長は、「中国やシンガポール、台湾、香港など中国語を使う国々と地域に住む人々がベトナムが安全で優しい国であり続けていることを理解するように、PR活動を促進する必要がある」との見方を示し、次のように述べています。
(テープ)
「現在、海と島へのツアーについてPRを進める必要があると思います。また、中国行きツアーの変わりに、韓国や日本へのツアーの開発を促進します。特に、日本へのツアーを対象にしたキャンペーを実施中で、その価格は2590万ドン(約13万円)に下げていますので、多くの観光客を引き付けています」
各旅行会社だけでなく、観光発展でメリットのある各地方も様々な措置を取っています。中部沿海のカインホア省は最も積極的な観光振興活動を行っている地方の1つと評されています。同省はロシア人観光客を誘致するため、様々な優遇政策を実施しています。
観光総局によりますと、同省は、市場の多様化を進めていることにより、中国からのマイナス影響を最小限に食い止めるだけでなく、欧州や、北米、南アジア、東南アジア、東北アジアの新しい市場の開拓を順調に行っています。今後も、カインホア省の観光部門は着実に発展していくとしています。
グエン・バン・トゥアン観光総局長はカインホア省が観光客の安全を確保するために様々な措置を取っていることを高く評価した上で、今後の方向について次のように語りました。
(テープ)
「中国市場の代わりに、他の市場を開拓させる計画があります。その中で、日本や、韓国、ロシア、アセアン諸国、西欧諸国、北米諸国、オーストラリアが優先対象、中東諸国や、インドなどが潜在力のある対象として見做されています。これまで行われてきたPR方法のほか、観光状況を知らせるために外国の各観光機関に書簡を送るなど、様々な措置を実施しています。特に、観光客の安全を最優先に確保することを公約します」
ベトナム観光部門は今年に830万人の外国人観光客を迎えるという目標を掲げていますが、各企業の努力などにより、この目標は達成できると期待されています。