旧暦12月23日にかまどの神様にお供えする鯉を養殖する村

毎年旧暦の12月23日はベトナム人の信仰に基づき、カマドの神様が天にのぼって、その家の一年間の状況を報告する日となっています。今年は新暦の1月16日がこの日ですが、人々は、カマドの神様をまつるお供え物を買いに行きます。そのお供え物とは3匹の小ぶりの赤い(こい)が欠かせません。

昔流にいうとカマドの神様がその3匹の鯉に乗って天に昇ると信じられています。そのため、最近、ベトナムの農村部では、カマドの神様にお供えする鯉の養殖をするようになりました。北部フート省丘陵地域カム・ケ県トイ・ロク村では、30年前から、人々は野菜を栽培する傍ら、赤い鯉の養殖をしています。トイ・ロク村の幹部であるクアンさんは、次のように語っています。

(テープ) 

「鯉の養殖による収入は、稲作と比べると3倍となっています。毎年、旧暦の12月23日になると、村人は、遠くまで赤い鯉を売りに行きますよ。そうすることで、もっと(もう)けが出るんですよ」

クアンさんはこのように語りました。

他の魚と違って、赤い鯉は、体長があり、色が濃く、元気がよくて、養殖しやすいのです。しかし、養殖者は鯉の大きさを望まないというのが不思議です。それぞれ家庭は、幾つかの養殖(いけ)を所有していますが、それぞれの養殖池は7~8平方メートルしかなく極めて狭いです。通常、1平方メートルの池には500ないし700匹が養殖されているので、数平方メートルの池の場合は、数万匹の鯉が養殖されています。。赤い鯉の養殖者の一人であるドクさんは次のように語っています。

(テープ) 

「赤い鯉が大きくならないように、養殖密度を制限しています。というのは、赤い鯉はお供え物ですから、大人の指3本分ほどの大きさぐらいがいいのです」

ドクさんはこのように語りました。

ところで、カマドの神様に供える赤い鯉は出荷されるまで6ヶ月も育てなければならないそうです。赤い鯉のお陰で、現地の住民の生活が改善されるようになりました。

トイ・ロク村の幹部であるクアンさんは、次のように語っています。

(テープ)

「赤い鯉の養殖は、高利益を与えてくれることが分かりました。この数年、養殖家庭は、安定した収入を遂げており、養殖を維持してきました」

クアンさんはこのように語りました。

北部の全域に鯉を出荷しているフートー省ソンタオのトイ・ロク村全体の養殖池では旧暦の12月中旬から水揚げが始まり、魚を積んだトラックが次々と村を離れてゆきました。トイ・ロク村トゥイチャム村落だけでも、564世帯のうちおよそ500世帯が赤い鯉を養殖しています。ある家庭は5ないし10もの養殖池を持っています。トゥイチャム村落だけでも、40トンの赤い鯉を出荷しました。

竈の神様におそなえした後の赤い鯉は川や湖に放されます。これは、トイ・ロク村が、赤い鯉の養殖期を終え、幸運の年を迎える時でもあります。

 

 


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