豊富で新鮮な農産物と食品の原材料を持つベトナムは世界の多くの国に加工食品を輸出してきました。しかし、近年、世界的経済危機や、欧州をはじめ、各国の貿易障壁、厳しい要求・基準などの理由により、その輸出は様々な困難に直面しています。こうした中、商工省所属貿易振興局は、欧州向けの加工食品の輸出振興プログラムを進めています。
この20年間、ベトナム食品加工部門は品質の高い様々な製品を生産しています。例えば、飲料水、乳牛関連、リカー関連、食用オイル、製粉、缶詰食品などです。
商工省は、加工食品を競争力の高い品目として位置づけており、それらの製品の輸出を促進しています。現在、ベトナム産加工食品の最大輸出先は欧州ですが、最近、様々な問題が発生し、輸出業者に困難をもたらしています。
これに関し、貿易振興局傘下の経営訓練コンサルティングセンターのグエン・ティ・ミン・トゥイ(Nguyen Thi Minh Thuy)副センター長は次のように明らかにしています。
(テープ)
「ベトナム食品加工部門の欧州向けの輸出活動にとって、欧州諸国の厳しい基準は大きな困難となっています。例えば、生産工程に関する基準と要求、反ダンピング措置などです。そのほか、技術的障壁もあります。また、欧州諸国の輸入業者の多くは環境と社会などに関する基準も適用しています」
輸出業者を支援するために、最も重要なことは輸出先の法律、規定、基準などに関する情報を十分に提供することとみられています。また、各企業の能力、認識を向上させることも必要であると指摘されています。
エコノミストのファム・バン・チャト(Pham Van Chat)博士は次のような見解を示しています。
(テープ)
「多くの企業は輸出先がない状況から抜け出し、提携先を見つけていますが、契約締結にあたり、その契約書の法的内容に対して注意不足です。これは危ないですね。このため、その面でも企業を補助する必要があると思います。そのほか、情報の正しさの確保も重要です。というのは、正しくない情報によって契約を締結した場合、大きな損失をもたらすからです」
食品加工部門の発展とその輸出の促進を目指して、商工省所属貿易振興局は、150万ユーロを拠出して、欧州向けの加工食品の輸出振興プログラムを進めています。このプログラムの対象は、飲料水、コーヒー、カカオ、お茶、蜂蜜、各種調味料、ナッツ類などとなっています。
このプログラムに関して、先ほどの、トゥイ経営訓練コンサルティング副センター長は次のように明らかにしています。
(テープ)
「私たちは3~40社を選び、訓練コースを行います。また、技術面での補助もします。企業がこのプログラムに積極的に参加すれば、輸出先や提携先の模索に関しても補助を受けます。その目的は欧州市場に製品を輸出できるようになることです」
また、このプログラムは各企業のマーケティング能力の向上、製品の質的向上などの面でも支援します。このプログラムはベトナム企業の欧州市場への進出の促進に寄与すると期待されています。