CPTPPのチャンスを掴むベトナム

 
(VOVWORLD) - 既にお伝えしましたように、去る11月11日、中部港湾都市ダナンで開催されたAPEC2017の首脳ウィークの際に、アメ リカを除くTPP=環太平洋経済連携協定参加11カ国は、正式名称をCPTPP=「包括的かつ先進的TPP協定」とする新協定の大筋合意を発表しました。

ベトナムはこの新協定から多くの利益を受けますが、チャンスを掴むために、政府と企業の大きな努力が求められるとされています。エコノミストらによりますと、CPTPPがもたらす利益はTPPほど多くないのですが、ベトナムが地域と世界の経済大国との協力を強化することに役立ちます。

CPTPPのチャンスを掴むベトナム - ảnh 1                (写真:KT)

カナダや、メキシコ、ペルー、チリなどベトナムがFTA=自由貿易協定を締結していない国々へ輸出市場を拡大させることや、繊維製品、革靴など多くの労働力を使用する部門の輸出額を増加させることなどはその例としています。

中央経済管理研究院のグエン・ディン・クン院長は次のような見解を述べています。

(テープ)

「アメリカが参加する協定より利益は多くないのですが、新協定は市場の面で多くのメリットがあります。日本市場はその一例です。日本はベトナムの貿易相手の中に5位に、そして投資面で3位に立っていますが、新協定に従ってもベトナムはこの市場への進出を促進していくことができます。オーストラリア市場も同じです。CPTPPはベトナムの農産物のオーストラリア市場への進出に役立ちます。」

輸出市場拡大だけではなく、CPTPPは、経済体制改革や、国家管理に関する高い条件・基準もあります。これに関し、エコノミストらは、「新協定の加盟は法治国家建設や、経営・投資環境改善などにも役立つ」と指摘しています。

エコノミストのボ・チ・タイン博士は次のように分析しています。

(テープ)

「新協定によりますと、加盟諸国が実施を一時停止する項目は以前の50から20に低下しますが、これは、CPTPPが経済体制改革や、国内での政策刷新と密接に結び付くことを示します。これは、発展・成長とその質を促進するための最重要な要素といえます。」

一方、新協定がもたらす試練も多いと指摘されています。概算によりますと、TPPは世界のGDP=国内総生産の40%、そして、貿易活動の30%を占めますが、新協定のそれらの割合はそれぞれ14%とおよそ17%しかありません。つまり、新協定の規模がはるかに縮小されます。

しかし、チャンスに伴う試練は縮小されません。エコノミストのグエン・バン・カン氏は次のように分析しています。

(テープ)

「最初の試練は、税金の減免に従って加盟諸国の商品がベトナムに進出し、ベトナム製品と競争することです。その競争は激しいといえます。従って、ベトナム企業のマーケットシェアが縮小されます。次は、労働問題です。投資・貿易の拡大に伴い、労働者に対する政策を変化させなければなりません。」

加盟11カ国の経済担当閣僚らはいずれも、CPTPPが加盟諸国の利益と発展程度の配慮を基礎にする全面的かつ基準が高い協定であるとしています。

また、地域内で民族主義と保護貿易主義が台頭している中、貿易自由化の突破口を切り開くものともしています。しかし、そのチャンスを掴むために、ベトナムは自国の競争力をさらに高める必要があると指摘されています。

ご感想

Hokigawa Hyogonosuke

先日ホーチミン市を訪れました。わずか一週間の滞在でした。お米料理はおいしかったです。ただ生水がまだ怖かったので地方まで行く勇気がありませんでした。その中で気が付いたことを申し述べます。
次回は山岳地方を訪れ各地の少数民族を訪れたいと思います。小生は恥ずかしながら,デザインに興味がありますので,少数民族の衣装に特に興味があります。 もちろん日本にもありますが,着物のデザインが南東アジアから来たのではないかと思い,その系譜を少しでも勉強できればと思って南洋の各地を転々としております。
 ところでCPTPPですが,ISD条項(settlement)はこれに含まれているのでしょうか。NHKはこれをほとんど報道しません。加盟11カ国の経済担当閣僚らはいずれも、『CPTPPが加盟諸国の利益と発展程度の配慮を基礎にする全面的かつ基準が高い協定である』としていますが一般の庶民や少数民族に理解不能です。もう少し具体的に説明してほしいのです。
 しかし一般に経済発展を優先すれば,北京や東京のように,一局集中がおこり地方が荒れます。日本では「限界集落」という言葉あるように,地方の産業も人口も衰退の一途です。そこでもし貴国ベトナムがTPP11やCPTPPに参加すれば,どうなるかが心配なのです。貿易量やGDPの増加などに気を取られ過ぎれば,少数民族や農民などが都会に出て現金収入を求める労働者(非正規)となることは,日本を見ても中国を見ても明らかです。
 地方が支えあう,伝統的な村の組織が破壊されれば,少数民族は流浪の民となるでしょう。佐渡へと,ハノイと,旧サイゴンへと草木もなびくように,人口が都会に集中するでしょう。本当にそれでよいのでしょうか。

 おそらくISDSは社会主義であることを放棄させる裁判システムです。またCPTPPは経済発展だけに目を向け,伝統ある社会や人の心をダメにする協定であるとして,貴国の主席と共同議長国のカナダは経済担当閣僚がよしとしたものを首脳会議の議題にもしませんでした。
 本当にFTAやCPTPPが国民や国家のためになるのか,考え直すことが必要だと思います。

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