先ごろ、ハノイで、TPP=環太平洋経済連携協定の交渉団長会議が開催されました。会議で、TPPは、ベトナムの国際社会への参入や、輸出拡大、投資誘致に利益を与える一方、多くの試練をもたらすとの意見が相次ぎました。これらの試練を出来るだけ早く解決する必要があると評されています。
今回の会議には、ベトナムや、日本、アメリカ、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、ペルーなど12カ国のTPP交渉団長が参加し、商品市場とサービス市場へのアプローチや、知的所有権、投資、環境、国営企業、法的環境などについて討論しました。
発展途上国のベトナムにとって、TPPは生産、経営、貿易、投資などに有利な条件を作り出すとされています。特に、TPPの発効により各種税金の90%が0%に削減されることから、アメリカや、日本、オーストラリアなどの大市場へのベトナムの輸出は大きく拡大され、その年平均成長率が2~30%に達する見通しだと予測されています。
一方、製品の原産地に関する規定や、国内製品と先進国からの輸入品との競争などにより多くの問題が発生することも予想されています。
ベトナム企業管理協会のグエン・ドゥク・トゥアン副会長は次のような見解を示しています。
(テープ)
「TPPにおいて、ベトナムはまだ交渉していない分野もあります。関連各機関は、ベトナム企業を保護するための法的環境の整備のために、これらの分野を理解しなければなりません。また、政府は繊維製品などのすその産業を開発させる政策をとる必要があります。一方、各企業も自分の能力を向上させなければなりません」
商品とサービスの貿易や、投資の自由化などのほか、TPPは知的所有権、競争政策、国営企業、政府財貨サービス購入、労働、環境などの問題も含まれています。これらに関する要求に応えるために、ベトナムは内部の再構築を加速させる必要があります。
中央経済管理研究院のボー・チー・タイン副院長は次のように述べています。
(テープ)
「TPPが利益をもたらすかどうかは、ベトナムの改革事業次第です。その改革は、公的投資や、国営企業、金融機関、投資環境の改善、市場経済体制の完備など、多くの分野で行わなければなりません」
一方、著名なエコノミスト、チャン・ズ・リック博士もボー・チー・タイン副院長の見解に賛同し、「ベトナム企業がアメリカや、カナダ、オーストラリアなどの企業と競争するように改革を進めざるを得ない」としています。
リック博士は次のように語りました。
(テープ)
「政府は、公的投資や、国営企業、金融機関の再構築、投資環境の改善、市場経済体制の完備を進めています。企業は持続可能な発展のための措置をとる必要があります。具体的には、企業は管理能力の向上や、活動方式の刷新、人材育成、他の企業や各団体との連携を進めなければなりません」
TPPは利益だけでなく、試練ももたらします。TPP加盟により、ベトナムは利益だけでなく、損失を受ける可能性もあります。しかし、これは、ベトナムが刷新を促進し、経済発展に梃子を入れるチャンスと見られています。