2012年の外国直接投資
ベトナム計画投資省・外国投資局によりますと、世界経済の停滞で今年1月の対ベトナム外国直接投資額は3750万ドルにとどまっています。ただ、エコノミストらは「これは懸念すべき数字とはならない。経済発展総合戦略の作成に際し、外国直接投資の効果をいかに向上させるかが長期的な課題となっている」との見解を示しました。
計画投資省は2011年、対ベトナム外国直接投資額は147億ドルに達し、200億ドルという目標値をわずかに下回った」と明らかにしました。経済専門家によりますと、外国直接投資額の減少は世界経済の停滞によるところがありますが、ベトナムが投資の質を重視したことの要因となっています。実施が遅れる数十億ドル相当のプロジェクトが大いに減少しています。現状において、登録投資額ではなく、実施額に集中する必要があるとの見解が示されました。外資系企業協会会長のグエン・マイ教授は「最近、外国直接投資プロジェクトの件数と投資額が減少しているものの、実情を反映するものではない」との見方を示し、次のように語りました。
「登録された数字は意味がありません。私達は長期的な投資、中でも、投資の効果や我が国で重視されているハイテク、教育、医療、省エネ、環境に優しい分野への投資に関心を寄せる必要があります。現在、計画投資省は新しい投資政策を作成しており、その中の質、効果、持続的な発展を投資プロジェクトの検討の基礎とします。」 グエン・マイ教授はこのように語りました。
2005年から2010年の間に、ベトナムに対する外国直接投資の登録額は1550億ドルに上りましたが、実施額は31%にあたる470億ドルにとどまっています。これは、投資プロジェクトの評定と管理に差し迫った問題が残されていることを示すものです。ハノイ国家大学に属する経済大学の外国投資研究センターのファム・フン・ティエン副センター長は次のように述べています。
「投資許可書の発給に際し、投資受け入れ分野の紹介から投資プロジェクトの評定まで、多くの問題を適切に解決する可能性があります。また、投資許可証発給後も、管理作業を改善する必要があります。ベトナムの投資の実施額は25%ないし30%に達していますが、どの分野に投資を実施し、経済社会発展にどんな影響を与えるかは重要なことです。」
ティエン副センター長はこのように述べました。
外国直接投資から得られる利益としては歳入の増加、雇用創出の促進、工業、農業の現代化が挙げられています。しかし、外国直接投資プロジェクトは期待通りの結果を収めていないことが現実です。例えば、中部高原地帯テーグェン地方ラムドン(Lam Dong)省は108件の外国直接投資プロジェクトを誘致し、その中の68件は農業分野に関わるものですが、新しい技術移転が行われなかった為、地元の農民らは利益を手に入れられませんでした。同省計画投資局のファン・バン・ズン副局長は次のように語っています。
「投資家は経済的効果を収める一方、地元の農民に技術移転し、生産経験を提供する必要があります。」
ズン副局長はこのように語りました。
計画投資省・外国投資局のド・ニャット・ホアン局長は「2012年、外国直接投資プロジェクトの管理は投資の質の向上を集中的に行う」と明らかにし、次のように語りました。
「今後、外国投資政策は投資の質の向上、持続的な発展、クリーン・テクノロジー分野の開発、天然資源の節約と効果的な利用、省エネ、裾野産業の発展を柱としなければなりません。また、投資誘致とともに、投資プロジェクトの評定と管理を厳格に実施する必要があります。」
ホアン局長はこのように語りました。
なお、2012年、対ベトナム外国直接投資額はおよそ150億ドルから160億ドルに達すると見込まれています。ベトナム政府は現代的な技術を導入し、環境に優しいプロジェクトを優先的に取り入れ、新しい市場からの投資家の誘致を進める一方、外国直接投資プロジェクトの質と効果の向上にも力を入れるとしています。