2016年の成長目標の達成のために取り組むベトナム
今年上半期、ベトナム経済は積極的な兆しを示しています。マクロ経済が安定していると共に、同期のGDP国内総生産の伸び率は5・52%に達しています。これは、前年同期より低いのですが、工業生産や、小売業、サービス業などは引き続き順調に発展しています。こうした中、ベトナムは高い成長目標を設定し、その目標達成のために尽力しています。
今年上半期、ベトナム経済は、世界経済のマイナス影響だけでなく、北部での大寒波や、中部の干ばつ、南部の塩害などこの100年の中でも最も深刻とされる自然災害による影響を受けています。このため、上半期の成長率は5・52%しかありませんでした。
これに関し、フルブライト大学のグエン・スアン・タイン博士は次のよな見方を示しています。
(テープ)
「昨年末は、世界経済が好転しましたが、今年はじめからは、世界経済の成長が減速しています。特に、貿易は成長していません。国内では、農業が多くの問題に直面しており、その成長率は0%にとどまる恐れがあります。政府は経営投資環境の改善のために努力していますが、今年の成長目標は達成しにくいと思います。」
しかし、明るい兆もあります。具体的には、CPI=消費者物価指数が1・7%の低い水準にとどまることや、工業と製造業のIIP=生産指数の増加率が10%に達していること、小売業の成長率が9・5%を超えたことなどです。
それに加え、今年末まで、ベトナムが複数のFTA=自由貿易協定に加盟することにより、輸出が促進され、今年通年のその総額は8・5%増加する可能性があると予測されています。また、FDI=外国直接投資も急増しています。
計画投資省によりますと、今年上半期に調達されたFDIは72億ドルを超え、前年同期と比べ15%増となっています。また、登録されたFDI額は前年同期の2倍増に当たる110億ドルであるとしています。
こうした中、エコノミストらは、「今年の成長目標は達成される可能性があるが、政府と各省庁、地方、機関、企業の努力が求められる。政府は効果的な政策を出す一方、企業はそれらの政策を徹底的に活用する必要がある」との見方を示しています。経済と政策研究所のグエン・ドゥク・タイン所長は次のように語りました。
(テープ)
「新しい土台は、政策の制定とその実施です。政策の効果的な実施は、各地方、機関、省庁の協力・連携の強化に寄与します。それらの政策は、法的枠組のほか、企業の平等な競争環境を作り出す必要があります。また、労働力の質的向上も重要な課題です。」
政府もこれらの問題を十分に理解した上で、複数の対応措置を出しています。政府の6月月例会議で、グエン・スアン・フック首相は年末までの任務を強調し、次のように語りました。
(テープ)
「第1は、経営投資環境の改善です。各省庁、地方、機関、部門は政府の決議を履行する必要があります。第2は、投資プロジェクトの資金調達の促進です。次いで、メコンデルタや、中南部、中部高原のテイグエン地方をはじめ全国の農民の生産活動と収穫活動をを支援することです。農民支援は社会安全保障にも寄与します。また、輸出市場と国内市場の拡大も重要な任務です。」
さらに、ベトナム政府は、各省庁、機関、部門、地方に対し、マクロ経済の安定の維持や、インフレ抑制などのために力を入れていくよう指示している一方、企業に対し、競争力と生産性の向上などを進めていく必要があると訴えています。