(VOVWORLD) - 1月14日、ベトナムではCPTPP=包括的かつ先進的な環太平洋経済連携協定が正式に発効されました。これは、かつてないほど質の高い自由貿易協定とみられていますが、エコノミストらによりますと、ベトナム企業がこの協定がもたらすチャンスを掴み、試練を乗り越えることは重要な課題であるとしています。
まず、具体例として、皮革・靴製品部門を取り上げます。この部門は、税金が0%となることなどにより、CPTPPから多くのチャンスを受けると評されています。しかし、靴・皮革製品協会のファン・ティ・タイン・スアン副会長兼理事長によりますと、この分野に携わる中小企業にとって、市場アプローチや、新しいルールに従うビジネス、生産基盤の拡大などの問題は簡単ではありません。スアン女史は次のように分析しています。
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「市場拡大における企業支援政策は多くの制限があります。というのは、革靴部門は製品の質は良いですが、原材料供給源などの面で多くの弱点があるからです。CPTPP加盟後に、原材料の国内調達率が少なくとも55%に達する必要がありますが、その基準を満たすのは容易ではありません。」
靴・皮革製品部門だけでなく、ほかの部門も同じ問題に直面しています。問題解決のためには各企業の管理方法や、ビジネスの進め方などの刷新が求められます。また、CPTPPの発効に伴う国内市場の開放につれて、外国企業からの競争圧力が激化されることや、企業の義務が重くなることなども死活問題とみられています。
農業農村開発省所属農産物加工・市場開発局のレ・タイン・ホア副局長は、「CPTPPの加盟により、農産物をはじめ、ベトナムの製品は厳しい基準を満たさなければならなくなる」と予測し、次のように語りました。
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「ベトナム産農産物にとって、一番大きな試練は、食品安全衛生問題です。現在、農業農村開発省は、ベトナムの農・水産物の付加価値の向上を目指し、複数の措置をとっています。」
こうした中、企業共同体は、CPTPPの加盟により、国際市場での競争はもちろん、国内市場でもその競争は製品・企業・国家の3つのレベルで激化されていくことをよく認識しています。ElTex社のグエン・マイン・コン会長は、「まず、企業はCPTPPに関するあらゆる情報をできるだけ早く把握する必要がある」との見方を示し、次のように語りました。
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「CPTPPの加盟により、市場が拡大されますが、企業は発展方向を定めなければなりません。発展方向制定のためには情報が必要とされるのは当然ですね。そのため、企業に対して、CPTPPについて手ほどきする必要があります。」
一方、エコノミストらによりますと、この10年間、ベトナムはCPTPP加盟のために周到に準備してきましたが、今後も、体制完備を進めていく必要があると指摘しています。エコノミストのグエン・ミン・フォン氏は次のように語りました。
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「CPTPPを実施するために、政府は参入計画や、行動計画を立案し、国会に上程する必要があります。これらを基礎に、それぞれの省庁、機関、部門、地方は独自の計画を立てます。そして、ベトナムは、労働や、企業などに関する法律を点検し、加盟プロセスに見合うように調整することも重要です。」
また、エコノミストらは、「企業の思考と発展路線の刷新とともに、知的所有権の保護に関する認識と能力向上なども欠かせないものである」と分析しています。これらの要素により、企業はCPTPPがもたらす試練を乗り越えることができるようになるとしています。