グェン・タン・ズン首相とキャメロン首相との会談
イギリスのキャメロン首相はベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポールの東南アジア4カ国歴訪を行っています。これは去る5月、イギリス首相に就任したキャメロン首相にとって、欧州以外の初めての外遊となります。この歴訪は東南アジア諸国との経済、貿易、航空、航海などの分野における協力を促進する他、テロ対策に関する協力チャンスを探る目的もあります。
現在、東南アジア地域は世界各国にとって重要な投資先となってきました。最近、世界の大国はいずれもアジア太平洋地域に関心を寄せています。アメリカはこれまでの世界戦略を見直して、その重心をアジア・太平洋地域に移そうとする政策をとっています。インドは「ルック・イースト政策(東方政策)」を掲げています。そして、ロシアはアジア太平洋地域諸国をキー・パートナーと見なしています。こうした背景の中で、イギリスも経済発展の展望が明るいと見られるこの地域での協力チャンスを探ることを望んでます。
経済目標は最も重要
現在、イギリスと東南アジア諸国との取引額は低い水準にあります。欧州諸国の経済が停滞している背景の中で、イギリスは自国の経済を発展させるため、欧州だけでなく、世界各国との貿易協力チャンスを探る必要があることを認識しました。キャメロン首相の今回の東南アジア4カ国歴訪は経済相手国を多様化するというイギリスの立場を示しています。また、東南アジア諸国との貿易関係を促進するのは2020年をめどに、イギリスの輸出総額を1兆ポンド、約15兆ドルにするという夢の実現に寄与するとされています。そのため、今回の東南アジア諸国歴訪にはイギリスの一流企業30社が同行しています。
キャメロン首相は28日、訪問先のインドネシアの首都ジャカルタで開催された政府高官や企業幹部らのフォーラムで「インドネシアが2760億ポンドのインフラ計画を発表した際、イギリス企業にとって次の機会が明確になった」と述べました。
インドネシア訪問後、キャメロン首相はベトナム入りしました。ベトナムを訪問期間中、同首相はベトナムの指導者らと会見や会談を行った他、ベトナムの最大の経済貿易中心地であるホーチミン市を訪れ、ベトナムの企業と会合を行います。現在、イギリスはベトナムに投資を行っているEU=欧州連合諸国の中で第3位に立っており、その投資総額はおよそ32億ドルです。ベトナムとイギリスとの貿易関係が前向きに発展している背景の中で行われたキャメロン首相のこの訪問は両国間の貿易、投資関係に新しい原動力を作り出すとされています。ベトナムのグエン・タン・ズン首相とキャメロン首相との会談で、両首相は2015年中にEUとのFTA=自由貿易協定の締結を目指すことで一致しました。
地域と世界の安全保障にさらに参加
2015年5月に、イギリスの首相に就任して以来、キャメロン首相は過激派組織「イスラム国」に対する戦いを優先課題の一つとしてみなしました。この戦いには世界各国との連携が欠かせないものです。イスラム教の教徒が多く住んでいるインドネシアとマレーシアを訪問した際、「イスラム国」との戦いにおける協力は重要な議題となっています。
また、ベトナム東部海域、いわゆる、南シナ海に関する問題に関して、キャメロン首相は「この海域の紛争が国際法に基づいて解決される必要がある。一方的行為が地域の安定と世界の繁栄を脅かすものになることを再度強調しました。
2014年の経済成長率が2,8%に達するイギリスはフランスを抜いて、ドイツに次いで、欧州の経済大国の一つとなっています。キャメロン首相の今回の東南アジア歴訪はこの地域諸国との経済協力を強化し、欧州最大の経済大国になる夢を実現させる狙いがあるとみられます。