イスラム国家との戦い 難航続く

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シリア領土全体の半分以上はISの支配下にある。


過激派組織「イスラム国家」ISがイラク第2の都市モスルを電撃制圧してから約1年になっています。同組織の黒い旗は現在、イラク政府の戦略上の要衝である同国西部アンバル州の州都ラマディでも掲げられています。アメリカ軍の主導による連合軍の激しい空爆にもかかわらず、最近はラマディのほか、シリアの世界遺産都市パルミラ、リビア中部のシルトでのISの勢力拡大に注目が集まっています。シリア領土全体の半分以上はISの支配下にあります。

連合軍の失敗か?

イ スラム国家が勢力を拡大するにつれて、アメリカのオバマ大統領の対IS戦略を批判する声が上がっています。多くの軍事専門家は、アメリカ、ヨーロッパ、ア ラブ諸国は、必要な調整をせずに、ISとの戦いを展開していると指摘しています。連合軍の激しい空爆にもかかわらず、ISが衰えている兆しはあるどころ か、イラク、シリアの他、サウジアラビア、イエメンでも攻撃を強めています。

アメリカはISとの戦いが戦術的に衰退していると認めたものの、「イラク全土での戦況がISに有利になったというわけではない」として、ISによるラマディ制圧の影響は限定的だとの考えを示しました。オバマ大統領は、アメリカはISとの戦いで失敗しないと強調したものの、対IS戦略を変える必要があると認めました。しかし、どのように対IS戦略を変えたらいいのかはまだ答えのない質問です。

ISが連合軍の空爆に適切な対応

イ スラム国家は独自の軍や治安部隊を持っているほか、学校や政府機関、公益事業、病院、税制や司法制度もあると主張しています。一般的な軍と同様、兵士の採用手続きや訓練施設もあります。しかし、連合軍の空爆に対応するため、国家の軍隊のように大勢の兵力を集めて攻撃することではなく、小部隊に分かれてのゲリラ戦を展開しています。ISの戦闘員は、黒い制服を脱いで、普通の服装を着て一般人を装うという隠れ戦術をうまく展開しています。

ISの支配下にある地域は、油田や製油所、農地などが豊富です。また、世界遺産の骨董品の密輸も大きな稼ぎとなっていると言われています。

イラク政府関係者の分析によると、ISの総資産額は昨年初めの時点で20億ドルに上り、イラク北部に支配地域を広げた後の昨年末には70億ドルに達しました。主な資金源とされる原油の密売を封じ込めるため、米軍主導の有志国連合は昨年8月以降、ISの石油関連施設を集中的に空爆しました。さらに、国際的な原油安が続く中、ISは資金源の多角化で一定の収入を確保している模様です。ISが外国に投資していることも判明しています。

全面的な戦略が必要

IS の勢力拡大が続く中、長期的かつ全面的な戦略は必要です。アメリカの主導による連合軍が空爆しか行わない限り、ISを撲滅することはできないので、 陸上での戦いが必死だとの意見が多くの専門家から出ています。しかし、アメリカとNATO北大西洋条約機構は陸上での兵力の展開を断固として否定していま す。空爆に加え、イラク軍への武器提供と兵士の訓練はアメリカとNATOの今の選択です。しかし、アメリカのカーター国防長官は、ISがイラク西部のラマ ディを制圧したことについて、「イラク軍が戦意を見せなかった」と語り、イラク軍の弱さに懸念の意を示しました。

多くの専門家は、アメリカはイスラム国家に対する新しい戦略を打ち出す必要があるという見解で一致しています。空爆を増やすのか、陸上での戦闘を展開するのか?この質問は、6月2日にパリで開催される予定の対IS連合軍の会議で答えられるかどうかが注目を集めています。


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