ベトナム東部海域問題に関する国際法を遵守してきたベトナム

(VOVWORLD) -去る7月初めに、中国の調査船「海洋地質8号」とその護衛船がベトナムの排他的経済水域と大陸棚で不法に活動を行ってきました。

こうした状況を前に、ベトナムは、常に、外交的措置を堅持しており、中国に対し国際法の遵守、ベトナム東部海域への秩序、平和、安定の維持を呼びかけると共に、国際共同体と共に、中国の違法行為を批判してきました。ベトナムは、この海域における自国の合法的主権を保護するために、国際法の遵守を最優先的にしています。 

これまでに、UNCLOS 1982=1982年国連海洋法条約は、海洋と海域でのあらゆる活動を定める法的枠組みとして世界で幅広く認められています。この条約に基づき、全ての沿岸国は自国の領海に接続する水域で、領海基線から200海里までの排他的経済水域、200海里までの大陸棚、及び、12海里までの領海を有するということです。ベトナム東部海域をめぐっては、中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイは領有権を主張しており、1982年国連海洋法条約を批准、署名しました。

UNCLOS 1982にあからさまに違反する

中国が、ベトナムの東部海域、あるいは、中国によって一方的に設定された境界線「九段線」に対する「歴史的権利」を持つことはできないと強調したいのです。中国の要求は、国際法の中に記されていない、いわゆる「歴史的権利」に基づくものばかりです。2016年に、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所はこの海域での領有権に関する中国の主張について、歴史的権利は認められないとの判決を下しました。しかし、中国は、この判決を認めずに、一方的、かつ、不法で、強制的な行動を通して、自国の主権宣言を目指す方策を模索してきました。

先ごろ、 中国がベトナムのバイ・トゥ・チンという浅堆で、不法行為を起こしたことは、中国のその意図を露にしました。バイ・トゥ・チンはベトナム南部ブンタウ市の海岸線から160カイリ、また、中国の海岸線から600カイリ離れたところにありますが、中国は、「九段線」に基づいて、バイ・トゥ・チンを自国の排他的経済水域に属すると主張しました。ひいては、中国は、ベトナムの領有権に完全に属する海域でベトナムの石油開発活動を阻止するために、海洋調査船「海洋地質8号」と複数の武装した巡視船を派遣しました。

中国がこうした行動をとったのは今回が初めではありません。2017年と2018年にも、中国は、ベトナムとベトナムの相手会社に対し、この海域での石油開拓活動を阻止したということです。

中国のこれらの行動は、国際共同体から強く批判されています。アメリカのタフツ大学・科学外交センターのジェイムス・ボストン研究者は次のように述べています。

(テープ)

「中国が、ベトナムの領海の奥に海洋調査船『海洋地質8号』を派遣したことは、1982年国連海洋法条約で定められた沿海国の主権、主権的権利に対する不法行為です。この行動の危険性は、ベトナムが、長年にわたって自国の領有権に属する海域で石油開発を行っていますが、中国は、紛争のない地域を紛争地域に変え、地域内の地政学的緊張を引き起こしてしまいました。」

法律と平和の措置で主権の保護を断固とする

3260キロメートルの海岸線を有するベトナムは、海洋に関わる多くの利益に恵まれています。ベトナムは、1982年国連海洋法条約の作成過程に積極的に参加しただけでなく、同条約の施行に努力してきました。

バイ・トゥ・チンでの中国の違法行為に反対して、この3カ月余りに、ベトナムは常に、1982年国連海洋法条約を初めとする国際法に沿って、ベトナム東部海域での自国の合法的権利と利益を保護しています。

ベトナム外務省のファム・クアン・ビン前次官は次のように語りました。

(テープ)

「この時代に、最も重要なことは、国際法、とりわけ1982年国連海洋法条約を遵守しなければならないということです。海上の平和、安全保障、秩序の維持、各国の合法的海域、特に、排他的経済水域と大陸棚の尊重を確保する必要があります。この間の中国の行動は、違法行動です。」

ベトナム東部海域を巡る複雑な背景の中で、1982年国連海洋法条約の尊重と遵守は、地域における平和、安定、安全保障、航行の安全と自由の維持に繋がります。そこで、如何なる国が武力による威嚇又は武力行使を、他の国を脅かし、または、他国との間の領土保全紛争解決の具にしたことは文明的な行動ではなく、国際社会から除外されるべきです。

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