(VOVWORLD) - この数日、多くの国は、難民・移民に関する国連「グローバル・コンパクト」に参加しないと表明し、来る12月中旬にモロッコで開催されるこのグローバル・コンパクトに関する国連会議に出席しないことを決定しました。これは、移民・難民問題解決のための国連の努力に深刻な影響を与え、その行き詰まりの打開プロセスの困難を示すものとされています。
(写真:ロイター) |
難民・移民に関する国連「グローバル・コンパクト」に加盟しないと表明するのはアメリカや、ハンガリー、オーストリア、チェコ、ポーランド、イスラエル、オーストラリアです。「グローバル・コンパクト」は23項目にわたる具体的な目標、および政策指針やベストプラクティスとなる行動が示されています。実施体制や、フォローアップと評価についても定められています。
理由
国連加盟国は7月13日、移民・移住者をめぐる国内における対処や国際協力のあり方の枠組みとなるこのグローバル・コンパクトの文案に合意しました。「移住グローバル・コンパクト」は、法の支配と適正な手続、国際人権法および国際人権基準に基づく人権保障、ジェンダーに配慮し、子どもの最善の利益の確保などを基本的な考えとして据えています。
しかし、多くの国は、これに消極的な姿勢を示しています。オーストラリアの不参加に関し、同国のスコット・モリソン首相は、「このコンパクトの採択はオーストラリアへの不法移民を増価させ、人身売買防止対策に悪影響を与える」としています。
ポーランド政府も声明を出し、「このコンパクトは国家安全法相の確保に役立たず、違法移民の増加につながる」と指摘しています。また、「ポーランドの優先課題に逆行している」とも明らかにしました。一方、ハンガリーや、チェコも強固な姿勢を維持し、「これは、欧州の安定を脅かす」と批判しています。
影響
多くの国がこのコンパクトへの不参加を表明することは、移民・難民問題の複雑さを示すものといえるでしょう。実際、多くの国は、難民受け入れは国にマイナス影響を与えると懸念しています。一方、このグローバル・コンパクトは移民・難民問題解決に寄与すると信じる国も多いです。
オーストリアの不参加に関し、同国のバン・デア・ベレン大統領は、「わが国の国際評価を下げる恐れがある」との警告を発しました。また、欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長は、「EU=欧州連合の多くの加盟国がこのグローバルコンパクトへの不参加を示すことでEUが指導的役割を失うことに繋がる」と批判しています。
移民・難民問題が欧米を含め多くの国で論争を引き起こす問題となっている中、アナリストらは、「効果的な解決策を見出すことは容易ではない」と悲観視しています。