１．新型コロナが流行している

2021年は新型コロナウイルス感染症が発生してから2年目となり、デルタ種やオミクロン種など多くの新しい変異種も出て、世界に甚大な被害をもたらしています。12月末現在、世界規模で確認された感染者数が２億８千万人に、死亡者はおよそ５５０万人にのぼっています。これと同時に、新型コロナウイルスの多くの種類のワクチンも生産されてきたことにより、多くの国は新型コロナの感染を抑制しながら、経済回復に辿っています。しかし、新しい変異種が連続して出ているのは新型コロナ予防対策に大きな試練をもたらしています。

２．回復の兆しを見せている世界経済

２０２１年の世界の経済成長率が５％～６％に達する見通しですが、これは２０２０年と比べて前向きであるとなっています。新型コロナウイルスワクチンの急速な普及と巨額な景気刺激策の展開は世界経済の回復に大きく貢献してきました。しかし、2022年の経済成長は新型コロナの感染状況に頼ると予測されています。

3．世界の気候変動対応に新たな期待

11月13日に、イギリスのグラスゴーで開かれていた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議に参加した197か国は「グラスゴー気候合意」を採択しました。会議で、100か国は、森林破壊の阻止や温暖化ガスのメタンの排出量削減などで合意しました。会議で達成した成果は世界の気候変動対応に大きな期待をもたらすとされています。

４．アメリカ、アフガニスタンから撤退

アメリカは7月31日、アフガニスタンでの軍事駐留を正式に終了しました。最後の軍用輸送機が首都カブールを去りました。2001年９月11日の米同時テロを契機とした20年もの軍事的関与に幕を下ろしました。アフガンでの戦争開始以来、アメリカ国民約2400人および多数のアフガン人が命を落としたほか、アメリカは約１兆ドル（約110兆円）を費やしました。一方、アフガニスタンで、攻勢を一段と強める反政府武装勢力タリバンは、8月15日、各地の主要都市を制圧し、首都カブールに迫りました。アフガニスタンで、テロリズムが台頭する恐れは南アジアを始め、世界の安全保障を脅かしています。

5．米中関係の対立が続く

2021年1月20日に、アメリカの第46代の大統領に就任したバイデン氏は中国と対抗するための連盟づくりに全力を尽くしてきました。アメリカと中国との対立は全面的、かつ、激しくなってきました。アメリカは台湾問題、東シナ海、民主、人権などの問題に関して中国に圧力を加えています。一方、中国は譲歩せずに、世界一の経済大国というアメリカの地位を奪うため、国内の力を強化します。

6 ．AUKUSが創設

9月15日、アメリカ・イギリス・オーストラリアによる新たな安全保障協力の枠組み｢AUKUS（オーカス）｣が創設されました。この枠組みはアメリカとイギリス、および、オーストラリアとの関係を強化しますが、アメリカと中国、および、アメリカと欧州にある同盟国との関係に悪影響を与えています。ＥＵ＝欧州連合とアメリカがそれぞれインド・太平洋戦略を公表した後創設されたAUKUSはこの地域の地政学的重要性を示しています。

７．メルケル首相が政界引退

12月8日、ドイツでは、16年間にわたって国を率いてきたメルケル首相に代わる新しい首相に中道左派の社会民主党のオラフ・ショルツ氏が就任し、新政権が発足しました。ドイツ首相として務めていたこの16年間、メルケル女史はドイツが多くの困難を乗り越えるため指導し、ドイツをヨーロッパにおけるけん引役を担うものにしています。そのため、メルケル女史の政界引退はドイツとＥＵ＝欧州連合に空白を残す懸念がありますが、ドイツ政界に新風が吹き込まれることが期待されています。

8．ミャンマー、スーダンなどで発生するクーデター

2月1日、ミャンマーで、国軍はアウン・サン・スー・チー国家顧問を拘束し、実権を握りました。しかし、全国に広がった反クーデターデモを鎮圧できず、ミャンマーは混乱状態に陥っています。一方、スーダンで、統治評議会トップで軍出身のブルハン議長は10月25日、同評議会と暫定政権を解散し、全土に非常事態を宣言しました。2021年、マリやギニアなどアフリカの他の国でもクーデターが発生しました。これは世界の多くの国で政治的不安定が続いている動きを示しています。

9．ロシアと西側諸国の緊張が高まっている

2021年、ウクライナとの国境付近でのロシア軍増強を巡ってロシアとウクライナとの関係が緊張化しています。２国関係は、１９９１年のソビエト連邦崩壊以降で最も悪化しています。ロシア外務省は12月１７日、プーチン大統領が提案したＮＡＴＯ＝北大西洋条約機構の東方不拡大を保証するためのアメリカとロシア２国間の条約案を公表しました。アメリカがロシアに対し、旧ソ連諸国のＮＡＴＯ加盟を排除する義務を負うとの内容です。

10．民間人だけによる初の有人宇宙飛行

イーロン・マスクCEO率いるアメリカ宇宙企業SpaceXが9月15日に打ち上げた、民間人だけを乗せた「Crew Dragon」は、3日間地球を周回した後、18日午後7時6分、アメリカフロリダ州ケネディ宇宙センター沖に無事着水しました。「Inspiration4」と名付けられたこの宇宙旅行は、民間人だけによる有人宇宙飛行としては世界初となっています。