(VOVWORLD) -アメリカがイランに対する大規模な追加制裁発動を計画する中、欧州各国の首脳は今週、対立の激化を避けるため外交を通じて緊張緩和を目指します。
アメリカのトランプ政権は昨年、イランが2015年の核合意に違反しているとして合意を離脱し、その後同国に制裁を科して経済的な圧力を強めてきました。一方のイランは最近、核合意履行の一部停止を表明したほか、アメリカ軍の無人偵察機を撃墜しました。
トランプ氏は先週末、アメリカNBCに「大規模な制裁を発動してきた。これからさらに制裁を強化する」と述べました。制裁の選択肢として、同国と取引を続けている外国の銀行や保険会社への圧力を高め、イランの資金源を断つことなどが考えられます。
元国務省高官でオバマ政権の対イラン核交渉に関わったロバート・アインホーン氏は「政権は現時点で交渉することにあまり関心がない」と指摘しました。「イラン国民が本当に追い込まれるまで十分な期間にわたり制裁を科した上で、降伏の条件を話し合うような状況にしたい意向だ」と述べました。
一方、欧米の外交当局者らによりますと、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相は日本で今週開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で、トランプ氏に経済制裁を強化しないよう求める見込みです。
マクロン氏は「G20は今の状況について外交的解決策の基盤を作る機会になる」と述べました。フランス政府当局者によれば、マクロン氏はイラン側に譲歩する姿勢があるか確認するため、サミット前にイランのハッサン・ロウハニ大統領と電話会談をする可能性が高いといいます。
欧州各国はペルシャ湾が一触即発の状況であると認識し、米政権が追加制裁を科せば裏目に出るとみています。対立解消に向けた交渉の余地をつくるため、アメリカ・イランの双方が直ちに緊張緩和に向けた措置をとる必要があるとの立場です。