シリア緊張高まる

(VOVWORLD) - 先週、ロシア軍による空爆が再開された後、シリア内戦の緊張が一段と高まっています。こうした情勢の中で、幾つかの関係国は異なる反応をとりましたが、いずれも懸念を表明しました。

先週、アサド政権を支えるロシアの軍用機が、反体制派最後の拠点、北西部イドリブ県内などに60回以上に及ぶ空爆を加えました。

ロシア軍とシリアがイドリブ県へ総攻撃した日には、アメリカのポンペオ国務長官は、トルコのチャブシオール外相と電話協議し、アサド政権軍による大規模攻撃は容認できないとの考えで一致しました。アメリカにとっては7日のロシア・イラン・トルコ首脳会談に対応し、結束にくさびを打つ狙いがあります。

シリア北西部イドリブ県でアサド政権が反体制派武装勢力への大規模攻撃を準備している問題で、ロシアとイラン、トルコの首脳協議が不調に終わり、北部の都市アレッポでの凄惨な激戦が再現されかねないとの懸念が強まっていました。国連は関係国と相次いで協議する予定で、戦闘回避に向けた努力が続いていました。

7日に行われた3カ国の首脳協議では、シリアに隣接し、避難民の大量発生を懸念するトルコが自制を求めましたが、ロシアとイランが政権側を支援する方針を示して物別れに終わりました。

協議後に発表された共同声明ではイドリブに関する具体的な対応は明示されませんでした。ロシア軍は7日にもイドリブで空爆を実施しました。大規模攻撃に向けた地ならしとの見方も出ていました。

イドリブにはシリア国内各地での政権側との撤退交渉を経て、多数の反体制派武装勢力が集められており、「第2のアレッポになる」(国連のデミストゥラ特使)といった懸念が以前から出ていました。

ロシア、イラン、トルコ3カ国の溝も埋まっておらず、実効性ある合意に至るとは考えにくかったです。攻撃準備を進めるアサド政権に同調するロシアに対し、非難が相次ぐ事態も予想されます。

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