(VOVWORLD) - アメリカ・中国はワシントンで16日、包括的な貿易協定の「第1段階」と双方が位置付ける合意に署名しました。その直後、「停戦」や「進歩」などの言葉がよく出ています。これらはこのおよそ2年間続いている両経済大国の貿易戦争の進展を示すものだとされています。
合意文書には、中国の企業と政府機関によるアメリカの技術と企業機密の窃取に対し中国側が取り締まりを強化するとの公約のほか、対米貿易黒字の縮小に向けた中国による今後2年間で2000億ドル(約22兆円)相当の追加購入計画の概要などが盛り込まれました。
第1段階の貿易合意により、アメリカは1600億ドル相当の中国産輸入品への追加関税を見合わせました。追加関税の税率を引き下げること、中国からの輸入品に関税を免除することなどは約束されています。そして、今回の合意署名では、トランプ政権として当面は第1段階合意の実行に重点を置いたと見られます。
しかし、アナリストらは、第1段階の貿易合意に対する慎重姿勢を維持しています。というのは第1段階の貿易合意は一時的なものにすぎないからです。今回の文書には、合意内容を履行しているか監視する制度を盛り込み、「実行できていなければ適切な対抗措置を執る」とも盛り込んています。
両国高官は定期協議を月1回開き、アメリカ通商代表部の代表と中国副首相も定期的に会談します。アメリカ政府高官は「中国が合意内容を守らなければ、制裁関税を再発動する」と明言しており、関税合戦は再発のリスクと隣り合わせました。
さらに、アメリカ政権は制裁関税第1~3弾は25%の関税率を堅持し、中国も産業補助金の見直しなど構造改革は拒んだままです。トランプ氏は「早期に第2段階の交渉を始める」と主張していますが、「合意は11月の選挙後になるかもしれない」とも話しています。
しかし、世論は、今回の合意を歓迎し、これを両経済大国の貿易戦争を解決するための前提とみなしています。