(VOVWORLD) - 先週、朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射や、アマゾン熱帯雨林での森林火災、G7サミットの従来型の包括的な首脳宣言の採択へのこだわらない姿勢、イタリア首相の辞意表明などとともに、米中貿易摩擦は国際世論の注目を集めました。
25日、中国政府は、来月1日と来る12月15日の2段階で、アメリカからの輸入品の5078品目、金額にしておよそ750億ドル分の輸入品に対し、最大で10%の関税を上乗せすると発表しました。さらに、ことし1月以降停止していたアメリカ製の自動車や自動車部品への5%から25%の関税の上乗せを12月15日から再開するとしています。
今回の措置は、アメリカのトランプ政権が来月1日から段階的に中国からの3000億ドル分の輸入品に10%の関税を上乗せし、ほぼすべての輸入品を対象に関税を上乗せすることへの対抗措置だとしています。
これを受け、トランプ大統領はツイッターに「午後に中国の関税に対応する」と投稿しました。「我々は中国を必要としていない」などとも投稿し、アメリカ企業に中国の替わりを探し、生産拠点を中国からアメリカに戻すよう求めています。
米中がお互いに強硬姿勢を強めており、貿易摩擦の激化や長期化が世界景気を一段と押し下げるとの懸念が改めて意識されています。こうした中、23日、アメリカ株価が下落しました。S&P500種の株価指数は同日、8月に入ってから3度目の2%以上の下げ幅となり、この4週間で5.8%下げました。
米中の貿易摩擦による緊張は軍事分野にも広がるリスクがあります。21日、中国側は、アメリカが台湾への武器売却を検討していることについて、「これは国際法と国際関係の基本準則、および、一つの中国という原則、中米3つの共同コミュニケの重大な違反であり、中国の内政への重大な干渉で、中国の主権と安全の利益を損ねた」と強調したうえで、「今回の台湾への武器売却に参加するアメリカ企業への制裁を含め、自国の利益を守るため必要なすべての措置を講じる」と表明しました。
米中の貿易問題が深刻化している中で、トランプ大統領は直ちに新たな報復措置をとる方針を明らかにし、両国の溝は深まるばかりで対立の緩和は見通せなくなっています。